東京都のPR会社「プラチナム」のシニアマネジャー島田さん(27)には、30代の契約社員の部下がいる。気後れすることなく、ワークシートを見ながら、目標や現状を話す(写真:篠塚ようこ)
この記事の写真をすべて見る

“仕事の責任や後輩のカバーを一人で背負うくらいなら出世したくない”。ドラマの中で描かれる20代の管理職の姿にそんな投稿が相次いだ。AERAが実施したアンケートでも若手管理職の本音がちらり。AERA 2024年7月1日号より。

【年代別割合】「管理職になりたい・なりたかった」はこちら

*  *  *

「ほんとごめん、下の子が熱出て吐いてるって」

 6月まで放送されたTBS系ドラマ「9ボーダー」で、川口春奈さん演じる七苗(29)に、子育て中の同期はそう言って帰っていった。七苗は管理職。無責任な部下を注意すると「辞めろってことですか?」とふてくされるわ、男性上司からは「女性初、最年少!」「後輩たちの希望の星になってくれ」と仕事を丸投げされるわ。結局、同期や後輩のカバーを一人でしょい込んで、「ああ、なんだかなあ」と座り込んでしまう──。

 そんな七苗の働き方に、SNSでは「20代で管理職なんてやってられない」「後輩を動かす管理職、無理かも」「若くして管理職になると、そういう宿命なの?」という投稿が相次いだ。

 最近の若者は管理職になりたくない、出世したくないといわれる。転職メディア「転職サイト比較Plus」が2022年、20代の男女に「出世欲」についてアンケートを実施したところ、2327人のうち「今後出世したくない人」はなんと77.6%もいた。その理由は「責任のある仕事をしたくない」「プライベートを大事にしたい」が多かった。

 AERAが実施したアンケートでも、若手管理職からこんな本音が寄せられた。

「プライベートを犠牲にするほどの給与は出ていないと思います」(情報サービス・33歳・役員・女性)

「家庭の中でも責任者としての役割を担っている中で、仕事においても責任者として奮闘しなくてはならない環境の方が多いため、どちらもやりきることは時間的にも精神的にも厳しいのではないかと思います」(コンサルティング・34歳・課長級・女性)

 今以上に自分の時間がなくなるかもしれない。管理職がババ抜きの「ババ」だったら、わざわざババを引きたくないと考えるのは当然のことかもしれない。

次のページ