娘さんの髪をアレンジ。リボンのついたゴムに四苦八苦するも、娘さんは「めっちゃ良い」(2022年12月、山根さんのInstagramより)
娘さんの髪をアレンジ。リボンのついたゴムに四苦八苦するも、娘さんは「めっちゃ良い」(2022年12月、山根さんのInstagramより)

 それでも娘は僕とは別の人間なので、最終的には自分の力で生き抜いていかなければなりません。親にできることがあるとすれば、いろいろ試してみる、やらせてみる。もちろんどんなによい環境があっても、みんながみんな上手に楽器を弾いたり、プロのスポーツ選手になったり、勉強がものすごくできたりとか、そういうふうになれるわけでもない。そのうえで、機会だけは与えてやりたい、と考えています。

 日本で経験できることだってたくさんあります。でも、僕もいつまで命があって収入があるかなんて確信はないわけです。ならば子どもに対して、やれるうちにやらせてあげたい。今ならばできそうだという、このタイミングを大切にしたいと考えました。

――あれもこれもしてあげなければと、焦る親御さんの声もよく聞きます。

 その強迫観念みたいなものは、よくわかります。最近のお父さんお母さんは本当に熱心ですよね。僕も仕事の都合で足りていないことがたくさんあります。でも、無理しないことも大切で、できることをやればいいと考えるようにしています。大層なことをしてあげなくても、親と一緒に何かをしたというだけで伝わるものがある気がします。

 僕の父はまさに昭和の父親像みたいな感じの人で、仕事を猛烈にして、休みの日は家でのんびりしているから、遊んでもらうことはあまりなかったんです。ただ、あるときにバドミントンとボウリングを一緒にしたことだけは強烈に覚えていて。

 父がボウリングの球を投げようとしたら指から抜けて後ろに転がったとか、バドミントンのシャトルが屋根に載ったとか、なんてことない時間がはっきりと残っています。その記憶はとても大切ですし、きちんと記憶に残っていることが、親になってみて娘を思う気持ちにつながっているように思います。

――娘さんの留学に付き添っていかれた、奥様の行動力も素晴らしいですね。

 すごいと思います。出発前の準備や手続きも含めて、自分だけじゃ絶対に実現できませんでした。僕はダメだったらまあいいじゃないというタイプですが、奥さんはどうせやるなら結果を出そうと頑張るタイプ。友達に会ったり、好きなドラマを見たりすることも我慢して娘についていったんでしょうから、真剣な分、ストレスがたまらないか、ちょっと心配です。

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