元朝日新聞記者 稲垣えみ子
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 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】いつものカフェでの現金払いにドキドキ

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 先週のアエラで、最も衝撃を受けたのが武田砂鉄さんのコラムである。本の歴史ある書店が市民に惜しまれつつ休業する理由の一つが「キャッシュレス決済の手数料」だったという。

 もともと利益の薄い商売の中で、客が現金を使わなくなったことで、その貴重な利益がさらに削り取られることになったのだ。なぜって電子マネー等の会社に手数料を払わねばならないから。キャッシュレスで払う人の割合が増えるほど、店の儲けは減ってしまうのである。

 キャッシュレス導入で本を買う人が増えたなら影響は相殺されるんだろうが、本とは支払いの便利さに釣られ「つい」「たくさん」買ってしまうようなものではないので、そうはならなかったのだろう。

 で、何が衝撃を受けたって、電子マネーの普及は一体誰のためなのかってことを、危うく忘れかけていた自分に対して、である。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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