米アップルは6月10日、iPhoneに生成AIを搭載すると発表した(写真:picture alliance/アフロ)
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 私たちの生活に急速に浸透しつつある生成AI(人工知能)。その波はウェブメディアの 現場にも及びつつある。効率化を求めてメディアがAIとの結びつきを強める中、私たち読者はどんな姿勢で情報と向き合えばいいのだろうか。AERA 2024年6月24日号より。

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 自分だけのアシスタントとしての生成AI。米国のアップルは6月10日、生成AIをiPhoneなどの幅広い製品に組み込む方針を打ち出した。オープンAIと提携して、ChatGPTも利用できるようになるという。生成AIはパーソナルな形でますます使われるようになるかもしれない。

 そんな未来が現実味を増す中、メディアはどう変わるべきか。前提として「博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所」の上級研究員・冨永直基さんは、「メディア側と、読者あるいは生活者側との関係がボーダーレス化してきている」現状を考えるべきだと指摘する。

「たとえば市街地にクマの出没が相次いでいるというニュース。より深く取材しているのはメディアの記者であっても、一次的な情報であれば現場近くにいる生活者がスマホで写真や動画を撮って送れば伝えられるし、場合によっては背景について動画で解説もできる。そこの『境目』がだんだんなくなってきているんです」

 そうなるとメディアはただ事実を提供するだけではなく、なぜ市街地にクマが増えてきたのか、他の動物はどうなのかなど「事実の解説や提言」の充実が大事になる。また「じゃあどうすればいいのか」と行動変容を促すことや、その行動を起こしてもらうための「共感と理解」を得られる記事にすることなどが重要になってくると、冨永さんは言う。

「ボーダーレス化はインターネットの普及で進み、生成AIでますます加速している面がある。そんな中ではジャーナリズムのあり方も変えていかないと、世の中の流れからメディアが後れを取ってしまうということにもなりかねないのでは」

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小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

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