百条委員会が決まった翌日、40代の県庁職員Aさんに話を聞くことができた。
「パワハラ、傍若無人なふるまい、恐怖支配に多くの職員が病んでいる。ある部長は今朝、『少なくとも百条委員会が終わるまでは、パワハラがないと思うとホッとするわ』と私に話しかけてきた。百条委でハッキリさせてほしい」
「俺が来ているんだ」
このAさんは、斎藤知事のパワハラの現場に遭遇したことがあるという。
昨年、知事の視察に同行する機会があった。その視察先で知事が怒鳴り散らした。
「俺が来ているんだ。知事だ、知事なんだぞ」
“瞬間湯沸かし器”と言われ、すぐに切れてしまうことは聞いていた。
この時はなぜ切れてしまったのか。
Aさんによると、斎藤知事は訪問先に15分前に到着するよう常に厳命しているという。県庁では「謎の15分ルール」と呼ぶ人もいる。その視察では、運転手が施設の入り口を間違え、1分にも満たない短い時間ながら、大回りすることになった。知事はまず、このことで怒った。
到着すると、職員たちが知事を出迎えるために並んで待っていた。
すると今度は、その職員たちの立ち位置が、知事の側から見ると少し離れていることに怒ったという。
そして最後は建物内のエレベーター。
知事が乗り込もうとしたところ、自動ドアが閉まりそうになった。
これにも激怒し、「何やってんだ」と知事の大声が響き渡ったという。
「すさまじい形相で恐怖を覚えました。ただ出迎えのために集められた地元の女性スタッフは、震えがとまらないほどでした。実際にパワハラを目の当たりにしましたが、ここまでひどいとは…」
斎藤知事が県庁を離れて視察に行くことを周囲の職員は「遠足」と呼んでいるという。「知事に同行するのは懲罰のようなものです」と振り返る。
内部告発文書で指摘されている「贈答品」に関しても、Aさんは聞いたことがあるという。知事の側近の部長が「先方の会社がいい手土産をくれて、知事がご機嫌で助かった。(先方に)言っておいてよかった」と話していたという。