斎藤元彦・兵庫県知事が職員に対するパワハラなどの疑惑にさらされている問題で、県議会は6月13日、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委員会)の設置を求める動議を可決した。元西播磨県民局長が書いた内部告発の文書に対して「噓八百だ」と真っ向から否定してきた斎藤知事だが、県議会では自民党が百条委員会の設置に賛成し、瀬戸際に追い詰められている。
「兵庫県という組織がよりよくなっていくため、真実が明らかになっていくことを願っている」
元局長はAERA dot.の取材にそう答えた。
内部告発は、斎藤知事のパワハラに加えて、知事選での公職選挙法違反▽県内企業からの贈答品の授受▽兵庫県から補助金を受けている団体へのパーティー券の斡旋▽阪神とオリックスの優勝パレードでの「強制的な寄附」など。元局長が県議や報道機関に告発文書を配った。
県は「文書の核心部分が事実ではない」として、元局長を停職3か月の懲戒処分にした。斎藤知事は第三者委員会のような外部調査を示唆。これに対して、県議会は調査が重大な問題で、より強制力がある百条委設置を検討してきた。
百条委は、地方自治法100条に基づいて議会が設置する特別委員会。自治体における不祥事の真相究明などを目的としている。通常の委員会よりも強い調査権限があり、関係者に出頭を求めたり、証拠の提出を求めたりすることができる。
「3月末に内部告発があって、3か月になります。おおむね内容が当たっているのがはっきりしてきました」
そう話すのは、百条委設置に賛成した丸尾まき県議。
自民党のベテラン県議も知事を突き放す。
この県議によると、一時はサプライズ辞職をして、他の候補の準備が整わない間に再選を試みる、そんな斎藤知事の「工作」まで聞こえてきたという。こうした噂に批判が高まった。
「最後は、『副知事が辞職するから百条委員会は勘弁して』と泣きを入れてきた。要は副知事に責任をとらせることで自分は逃れようとしている。疑惑は深まっており、県民は納得しません」