わたしの著書に「よけいな一言ハンドブック」(中経の文庫/KADOKAWA)がある。意外とこれが売れている。
そして、わたしの仲間は、
「大谷さん、これ、自分のために書いたの?」と、ツッコミを入れてくる。
ほんま、その通りかもしれない。
わたしも、悪気はないけれど、よけいな一言が多い。
言ってから反省することもよくある。
たとえば、可愛い女の子に、「彼氏いないの?」とか、気が利かない男の子に「そんなことしてるから彼女できないんじゃない」とか、つい言ってしまう。
おせっかいもいいとこ。
ありがたいことに、わたしの周囲の人間は、「ほっといてくださいよ」とか、「誰か紹介してくださいよ」とか切り返してくれるから救われているものの、一歩間違えばセクハラにだってなりかねない。
そして、人の価値観はいろいろだということ。
自分の価値観で物を見ていると相手に嫌な思いをさせたりする。
わかっていてもやってしまうからこそ、わかって、意識していることが大切だと思っている。
わたしの友人の夫は、リストラされてから働いていない。
彼女が稼いで家庭を支えている。
そんな彼女の夫に対して、「ヒモじゃん」という人もいれば、「よく我慢しているよね」と言う人もいる。
でも、彼女は、
「わたしは、彼が家でごはん作って、洗濯してくれていて嬉しいんだよね。けっこう幸せなんだけれど、世間は、そう思ってくれないみたい」
と笑っている。
わたしの友人の子どもは引きこもった。
高校も何度も中退した。
やっと、働き出したものの、世間の人は、「大変だよね」「他の子供に迷惑かけないといいよね」などと言う。
でも、彼女は、
「その子が、とっても可愛いんだよね。彼のおかげて、世の中のいろんなお母さんの気持ちがわかって、悩み相談もしてあげられるようになったし……」
と笑っている。