自分の目で見、耳で聞き、舌で味わい、相手の事そしてその人の国の事を身をもって“知る”。こうしたことを繰り返し、誤解されることなきようアフリカの情報を伝えている岩崎さん。
「私とて、一生をかけても、アフリカを隈なく訪ね渡ることは無理に等しい」そう思いつつも、再びかの地へ足を運ぶのです。
早くも12月、師走の時期がやってきました。3月から始まった当連載も17回目を数えます。今回は1年の締めくくりとしまして、いつもとは少し違う雰囲気でお届けします。今後も当連載をよろしくお願いします。
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今年の春、東京で開かれたある集まりで名刺交換をした際、私の名刺裏面に印刷された写真を見たその男性は、「なんだか怖そうですね」と言葉を漏らした。私の名刺の裏には、ここからモーリタニアのヌアディブまで692キロメートルであることを示す道しるべが写る写真を使っている。道しるべには、ヌアディブがアルファベットとアラビア文字で表記。私が名刺を交換したこの方は、日々目にするテロに関する映像や画像の多くに、アラビア語が記されているため、アラビア語を見ただけで怖いと思うようになってしまったと話していた。
この1年を振り返り、メディアで取り上げられたアフリカ各国の話題を思い起こしてみると、残念ながら物騒な話題が多い。リビアにおけるISの蛮行、ソマリアのイスラム過激派「アル・シャバブ」による襲撃、ナイジェリアでのボコ・ハラムによるテロ事件の数々、ブルキナファソで大統領府警護隊が起こしたクーデター、マリの首都バマコのホテルを狙ったテロなど、気のめいるニュースが続いた。こういったニュースだけがアフリカとの接点ならば、「アフリカも怖そう」と思われても仕方がない。では、アフリカ全体を見渡したときに、果たしてアフリカは怖そうな大陸へと向かってしまっているのだろうか。