
運命としか言いようがない
松岡 今年はSOPHIAの30周年アニバーサリーでもあって、1年365日しかないなかで、バンド以外の活動はできないよね、と思っていたんです。ただ、脚本を読んだ時のリンク感がすごかったんです。僕がSNSに対して感じていることが、まさに脚本に描かれていた。だから読んですぐ、秦さんとお会いしたいと思ったんです。
僕自身はSNSを積極的に生活には取り入れないようにしています。SNSの走りでもある、ネット掲示板時代に散々ダメージを負ってきました。当時は一部の人たちの居場所だったものが、今や道行くすべての人たちのものになっていて、多くの人がSNSの反応に一喜一憂し、影響力は恐ろしいほどです。災害時に人や情報をつないで役立つ面もありますが、日常生活では代償が大きすぎる。だから、抗いたいんですね。
もしSNSにストレスを感じたなら、簡単にアカウントやアプリを消すことができるのがユーザーの特権。そういう習慣が根付けば、依存せずフレキシブルにSNSと付き合えるんじゃないかと思っています。
ただ、仕事のプロモーションツールとしてはとても有効なので、そこは使っています。
「あなたが毎日直面している 世界の憂鬱」は、SOPHIAが活動を休止して、9年間もの間待たせた人たちに対してライブで「ありがとう」と「本当にごめんね」ということを直接伝えた後、SOPHIAがまた次に向かうためにフラッグが必要だと思って創った曲です。
「Change the World」の脚本を読んでいる時、ずっとこの曲が頭に流れていました。やっぱり同じことだよなと感じたし、運命としか言いようがないですね。
自分が動いた先に見えるもの
──俳優とミュージシャン、2つのジャンルで活動するようになって20年以上が経つ。目標やゴールはあるのだろうか。
松岡 それぞれに明確なゴールはないんじゃないでしょうか。歌詩としても書いてきましたが、漠然とした理想や夢を追いかけるのではなく、自分が実際に動いた先に見えるものが夢であり、目標だと思う。それは遠くにあるものではなく、今見えているものなんです。
そして、僕はそのためにしかおそらく生きられない。だから、未だ見ぬ明日に怯えるくらいだったら、今目の前にあるものや人に対して精一杯生きることが、未来を知る一番の近道だと思っています。