78年に大リーグ並みの広さを持つ球場としてオープンした大洋(現DeNA)の本拠地・横浜スタジアムでは、4月5日の巨人戦がこけら落としとなり、第1号は前年通算756本塁打の世界新記録を達成した巨人・王貞治が本命視されていた。

 だが、王は1回表の第1打席で三飛に倒れ、2回の先頭打者・柳田真宏が右越えに第1号を記録。「打った瞬間抜けるとは思ったけど、まさか入るとは……。だってフェンスがあんなに高いんだから」と本人もビックリのメモリアル弾に、王も「ヤナにやられちゃった」と悔しがった。

 大洋漁業から賞金10万円、高級腕時計、トロフィなど総額30万円近い記念品を贈られた柳田は、腰痛用の低周波治療器を買ったばかりで、「払いはどうしようか」と考えていた矢先とあって、結果的にひと振りで支払いOKになった。(文・久保田龍雄)

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
シンプルでおしゃれな男女兼用日傘で熱中症を防ごう!軽さ&大きさ、どちらを重視する?