もちろんそれは簡単なことじゃない。近い人ほど本人の変化を受け入れられず、ついイライラしてしまうのは私も身に覚えが十分ある。良くないとは思っても、自分の気持ちをどう処理していいかわからないのだ。でもそのことが本人を追い詰め症状を悪化させていると知れば、違う対応ができたように思う。理解と想像力こそが最上の薬。ならば、無力感に押しつぶされることなく、もっと前向きに病と向き合えた気がするのだ。
つらいことや嫌なことがなければ、認知症の人はうまくできないことがあっても明るく元気。なんと素敵な指摘だろう。明るく元気でいること。それを幸せというのだ。
※AERA 2024年6月10日号