日銀によると、直近の23年度に日銀に戻ってきた紙幣(受入高)は83憶3千万枚で、このうち裁断したもの(消却高)は21億1千万枚に上る。単純計算で大体4枚に1枚が裁断され、リサイクルや焼却に回される。
世の中の需要を反映
過去をさかのぼると、受入高のうち消却高が占める割合は、波があるものの最近は20%台で推移し、少しずつ下がっているようにみえる。公表されている一番古い07年度は30.9%だった。
裁断されるお札の量や割合の増減は、新紙幣の発行時期も関係しているのか。現行の紙幣に切り替わった04年前後など、もっと古いデータが見られるかを日銀に聞いたところ、公表していないという。お札の種類(券種)別の受入高や、消却高のうちどのくらいが燃やされずにリサイクルされているかなども「非公表」(広報担当者)だとしている。ただ担当者は次のように説明する。
「日銀は、一般の金融機関から寄せられる券種や金額などの要望にもとづいて紙幣の受け払いを行っています。つまり、お札がどのくらい出回るかは日銀が決めるのではなく、世の中の需要を反映して決まります。新紙幣の発行後も(お札の受入高や消却高は)世の中の需要しだい、ということです」(同)
新しいお札のリサイクルに向けて、もう準備は進められているのか。前出の横田で代表を務める大森常男さんはこう話す。
「新しいお札になっても事業は続けていこうと考えています。もちろん、新しいお札はまだ見たこともありませんし、情報も入ってきていませんので分かりません。新紙幣の裁断くずが入ってくるのは、もう少し先の話になるでしょう。紙幣の原料もそう極端に大きくは変わらないでしょうから、だいじょうぶだと思っています」
せっかくいろいろな技術が盛り込まれる新しいお札。その第二の人生も、延びてほしい。
(AERA dot.編集部・池田正史)