
「公益通報」をした職員が重い懲戒処分を受けた福島県国見町の問題が、衆議院の特別委員会で取り上げられた。町は処分理由を職務を逸脱した情報収集だったなどとしているが、政府参考人として答弁に立った消費者庁審議官は「公益通報者保護法上、情報収集する行為について禁止する規定はない」とした。法律の解釈に関するやりとりだったとはいえ、町の 主張をことごとく否定する内容になっている。果たして懲戒処分は正しかったのだろうか?





国見町では、企業版のふるさと納税制度を利用して集めた寄付金で高規格救急車をつくる事業をめぐり、業者選定などに不透明な部分があるとして問題化している。
きっかけは、課長職Aさんの町監査委員事務局への情報提供だった。事業に不信感を抱いたAさんは昨年6月以降、複数回にわたって町のコンピューターで保管する文書を入手し、監査委員事務局に情報提供した。監査委員は同年9月、「業者選定が公平性に欠ける」などと指摘する意見書を公表。町議会も調査特別委員会(百条委員会)を設置して調査に乗り出した。すると今年3月、Aさんは減給1/10(6カ月)と降任の懲戒処分を受けた。


町の懲戒処分理由は要約すると以下のようになる。
(問題になった)企業版ふるさと納税の事業だけでなく、町のさまざまな事業について職務上の権限を逸脱して文書の収集を行っていた▽具体的に法律のどの部分に触れるのかの明示がなく、公益通報者保護法の適用外となる▽職員の当初の事情聴取では、「内部通報」や「公益通報」という発言はなかった。
この問題についてAERAdot.が5月21日に詳報したところ(人口8000の町で起きた「公益通報」の不可解 不正をただすつもりが…「懲戒処分はあまりに不当」 | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com))、衆院の「地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会」で立憲民主党の早稲田ゆき議員が、企業版ふるさと納税を利用した事業の問題点や、内部通報した職員が懲戒処分を受けたことを念頭に、公益通報制度について質問した。