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「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。

本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「本を読む習慣がない私でも読みやすく、頭に入りやすかった」
「何度も読み返したい本!」
といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。

※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

から揚げをたくさん食べるとどうなるの?

 よく見聞きする「酸化」とはサビた状態、老化現象です。
 一方「糖化」はあまり馴染みがない言葉かもしれませんが、これはいわゆる焦げた状態で、これも老化現象です。
 酸化が進むと糖化も進み、それによってまた酸化が進むという具合で、切っても切り離せない関係性です。

 蒸した鶏肉に比べて、鶏のから揚げは糖化現象が7~12倍高くなります[*68]。糖化=老化なので、体内はもちろん、脳にも影響を及ぼします。から揚げをたくさん食べていると、30代で脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクが高まります。

 私のクリニックでは、幼児期からから揚げを週に2~3回以上食べていた小学生が脂肪肝になったケースもあります。

 シミ、しわ、たるみも、糖化によって起きる老化現象で、生まれたときから始まっています。
 縦の糸と横の糸が織りなすように、酸化と糖化は複雑に絡み合っています。生きている限り避けて通ることはできませんし、体質もある程度関係しますが、子どものころからの食事内容とライフスタイルの積み重ねで、進行速度が異なっていきます。
 揚げ物は、できれば月に1~2回にとどめましょう。

揚げ物は腸にもよくない?

 揚げた料理、つまりオイルを使った高脂肪食がもたらす悪影響はほかにもあります。それは腸内環境の乱れです[*69]。腸内環境が乱れると、善玉菌が減って悪玉菌が増え、その結果、免疫力が下がります。免疫細胞の約7割は腸管にあり、腸の環境が悪化すると免疫も悪化するからです。また、皮膚の状態も悪くなります。

揚げ物を食べるなら

 調理温度が200~300℃と高温で、長時間の調理だと糖化が進んでしまう、ということを覚えておきましょう。
 オーブンなどでの高温・長時間調理の料理は頻度を下げて、量も抑えられるといいですね。たまにオーブンで作るグリルチキンが悪ではないので、バランスよく美味しくいただきましょう。

 しかしローフード(調理温度約50℃未満の低温調理)は、医学的な理由でおすすめできません。

 揚げ物を食べるときは、糖化を抑えるために多めにレモンを搾ったり、新鮮な野菜を一緒に食べたりしましょう。

(伊藤明子:小児科医)

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