薄明の時間帯に見られるマジックアワーの空。表情豊かで、いつまでも眺めていたくなる(提供・荒木健太郎)

マジックアワーは晴れていれば1日2回

「マジックアワー」は、魔法のように美しい空に出合える時間です。雲のない晴れた太陽側の空では、昼から夜へ、また夜から朝へと表情を変えていく美しいグラデーションが見られ、いつまでも眺めていたくなります。

 マジックアワーは、日の出前と日の入り後に訪れる薄明(トワイライト)のうち、市民薄明と呼ばれる時間帯のことを指しています。薄明は太陽高度によって3つに分類されており、夕方を例に考えると、太陽が地平線に沈んだばかりの頃で、まだ照明がなくても外で活動できる時間帯を市民薄明(太陽高度が地平線~マイナス6度まで)といいます。

 もう少し時間が進み、海面と空の境目が見分けられる程度の明るさの時間帯を航海薄明(太陽高度マイナス6~マイナス12度)、さらに肉眼で確認できる限界の明るさである6等星が見える時間帯は天文薄明(太陽高度マイナス12~マイナス18度)と呼ばれています。また、マジックアワーに太陽と反対側の空に注目すると、低い空には地球の影(地球影)を見ることもできます。

 地球影のすぐ上には、ビーナスベルトというピンク色に染まった空が広がることもあり、マジックアワーの空はとても表情豊かです。晴れてさえいれば、季節を問わず1日2回もマジックアワーの空に出合うことができます。日の出・日の入りの時間帯をチェックし、地球をダイナミックに感じられる空を楽しみましょう。

ブルーモーメントはどんな天気の日にも出現

 空の青色が美しいのは昼間だけではありません。空も雲も街並みもすべてが優しい群青色に包み込まれる「ブルーモーメント」という現象もあります。

時間とともに群青色が深くなるブルーモーメントの空。比較的簡単に出合える(提供・荒木健太郎)

 ブルーモーメントには、太陽の光で焼けた色があまりない日の出前と日の入り後の市民薄明のうち、太陽高度がマイナス4~マイナス6度の時間帯に出合えます。太陽が地平線の下にある状況で、太陽の光が高い空に当たると、そこで散乱しやすい青い光が夜の暗い色と混ざり合い、深い青色が生まれるのです。雲の出方によって見え方が異なりますが、晴れて雲が少ないときがわかりやすいと思います。

 ブルーモーメントに出合える時間帯は「ブルーアワー」とも呼ばれ、夕方ならその後は夜へと進みます。反対に、朝に向かうときは、暗く色味のない空が次第にうっすら青く染まりはじめる様子が見られるので、夕方も朝も見逃せません。日本ではブルーアワーは10分ほどと短いのですが、白夜という現象が起こる北欧では、薄明の時間が長くなります。このため、ブルーモーメントが数時間にわたって見られることがあるのです。

 時間は短くても、気にして空を見上げていると、比較的簡単に出合えます。ブルーモーメントの群青色の空をきれいに撮影するには、マジックアワーの間に太陽と反対側の空にカメラを向けておくことがポイントです。また、街灯などの明るい光を入れないようにすると撮りやすくなります。ぜひ深い青色の空を観察してみてください。

(文 荒木健太郎・太田絢子・片山美紀・津田紗矢佳・佐々木恭子/生活・文化編集部)

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