個別株の手数料と「注意点」を調査した
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「成長投資枠」で日本株に投資したいという人が増えた。新NISAのスタートを意識し、2023年秋に繰り広げられたのが日本株の手数料無料化の競争。主要ネット証券5社はNISA口座なら無料で日本株を売買できる。

【図表4点】日本株・米国株はどこが安い? 最新手数料まとめはこちら!

 証券会社にとって新NISAの口座を開いてもらうメリットは大きい。NISA口座は年ごとに金融機関を変更できるが、その手続きが面倒。金融機関を変更したとしても、変更前の金融機関のNISA口座で買った資産を他に移すことはできない。

 そこでネット証券は身を削るサービス競争を繰り広げた。その日本株部門(?)の口火を切ったのはSBI証券。「ゼロ革命」と銘打ち、2023年9月30日以降の日本株売買手数料を全面的にゼロにすると宣言した。

 ゼロ革命の発表当日に、楽天証券も全面無料化で対抗した。SBI証券と楽天証券は新NISAに限らず、特定口座での日本株取引もタダである。

 マネックス証券、松井証券、auカブコム証券はNISA口座に限り、日本株取引の手数料を完全無料にした。特定口座に関しては3社とも従来の手数料体系から大きな変更はしなかった。マネックス証券は格安ではあるが有料だ。松井証券は1日の約定代金50万円まで無料(「ボックスレート」)。auカブコム証券は同100万円まで無料(「1日定額手数料コース」)。

 利益に税金のかかる特定口座での細かな違いはあるが、NISA口座で主要ネット証券5社は「日本株、無料」で足並みをそろえたというわけだ。なお日本株と同様に取引できる東証ETF(上場投資信託)も売買手数料無料である。

 ここまでの内容をまとめた表がこれだ。特定口座で売買した際の手数料も比較している。

日本株完全無料の条件

 SBI証券の日本株取引は取引報告書などの「電子交付設定」を行っていることが手数料無料の前提条件。つまり紙の書類を郵送してほしい人は対象外ということ。

 楽天証券で手数料をタダにするには国内株式取引「ゼロコース」を選ぶ。注文は東京証券取引所を介した通常パターンではなく、独自の「Rクロス」と「SOR」の利用同意が必須となる。

「SOR」は東証やPTS(私設取引システム)などの複数の市場から、最良価格の注文を自動的に選び出して取引を成立させる。

「Rクロス」では、楽天証券のマッチングエンジンが投資家同士の売り注文と買い注文をマッチさせた場合に東証の立会外(時間外)取引市場で取引を成立させる。難しく聞こえるが、怪しいことはしていないので忘れてもいい。

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