若くして老眼や白内障のリスク
一方で慢性化のリスクがある疾患は、
▽瞼裂斑(けんれつはん・白目の一部にシミのようなものができる)
▽翼状片(よくじょうへん・白目が黒目の方に伸びてきて乱視などを引き起こす)
▽老眼(目のピント機能が低下し近くが見えにくくなる)
▽白内障(目の水晶体が濁って視力が低下する)
という4つが主だという。
タンザニアの子どもは視力はいいものの、小学校1年生で大半が初期の「瞼裂斑」にかかっていた。石川県の小学生では極めて少ない。
さらに、タンザニアでは40歳を過ぎると、視力が下がる人が目立った。目がいいのは子ども時代だけという傾向が見られた。
「翼状片」についても、タンザニアでは50歳以上でこの疾患にかかっている人が46%もいたのに対し、石川県は7%と大きな差があった。
「日本国内でも、紫外線が強い沖縄県の西表島に住む50歳以上を調査したところ、島の出身者では46%が翼状片にかかっていたという結果が出ています」(佐々木さん)
世界の各都市を比較しても、赤道に近い地域と紫外線の弱い地域では、「翼状片」の罹患率の差が顕著だったという。
白内障の一歩手前の症状が老眼だが、その老眼の調査も同様の結果だった。
「日本では45歳くらいから老眼になる人が出始めますが、タンザニアでは30代後半から目立ち始めました。別の調査と比較すると、紫外線量の少ないアイスランドでは50代からという結果が出ています。つまり、子どものころから強い紫外線を目に浴び続けると、若くして老眼や白内障などになってしまうリスクがあるということです。子どものころの瞼裂斑は、その兆候だと考えられます」(佐々木さん)