16日、2月にあった早稲田大学創造理工学部の一般入試で、カメラ付きの眼鏡型電子機器「スマートグラス」で撮影した試験問題を試験中にXに流出させたとして、警視庁戸塚署は偽計業務妨害の疑いで、都内の男子受験生(18)を書類送検した。過去に配信された記事から、巧妙化するカンニングとぬぐい切れない大学進学を望む学歴意識を考える。(「AERA dot.」2022年1月28日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)
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大学入学共通テストの試験中に出題内容を撮影した画像が流出した問題。27日に受験生の女性(19)が家族と共に香川県警に出頭し、警視庁は偽計業務妨害容疑を視野に事情聴取を進めている。この女性は東京大学の複数の学生に通話アプリ「Skype」上で解答を依頼する不正行為をした疑いが持たれているが、女性が依頼を送った大学生らのうち少なくとも数人とは、家庭教師を紹介するマッチングサイトを通じて知り合ったとみられている。マッチングサイトとはどんなものなのか。悪用されたとみられるサイトの運営会社に、話を聞いた。
今回出頭した受験生が登録していたとみられるサイトを覗いてみると、東京大学や京都大学、慶應義塾大学をはじめ、難関大学の若者たちがずらりと表示される。同サイトを運営する担当者によると、登録家庭教師は現役大学生のみで占められ、200人ほどが登録しているという。登録には、同社の定める大学に属していることが必須となり、必然的に高学歴の学生が占める。
大学生らが開示している情報は、レッスン料金(大学生側が自由に設定可能)のほか、大学名や年齢、レッスン可能な地域などで、人によっては顔写真も載せている。受験生はこれらの情報をもとに、講師となる学生を選ぶしくみだ。
受験生はこのサイトに利用料1980円を支払うことで、登録している大学生たちに30日間、サイトのアカウントページ上でメッセージを送ることができる。サイトに画像送信機能やオンライン授業をするためのツールがないため、通常はサイト上で簡単な挨拶を交わした後、LINEやメールアドレス、Skypeなどの連絡先を交換することが多いという。
今回出頭した受験生は、同サイトのこうした仕組みを悪用。サイトの仲介によって複数の大学生らと知り合い、「実力を図る」という名目であらかじめ共通テスト当日の15日に解答をもらえるよう依頼していたという。そして当日、「世界史B」の試験中に問題用紙を撮影し、Skypeで東大生2人に画像を送るなどした疑いが持たれている。
運営担当者は次のように語る。