気が合う2人

 最近、映画館で公開された「『鬼滅の刃』絆の奇跡、そして柱稽古へ」では、オリジナルアニメとして実弥と伊黒がともに戦う場面が挿入された。「呼吸」と呼ばれる技のエフェクトのスケールの大きさとともに、息の合った彼らの様子がファンの間で話題となった。

 公式ファンブック『鬼殺隊見聞録・弍』(集英社、2021年)に「柱相関言行録」が掲載されているが、実弥は伊黒のことを「一番気が合う」とし、伊黒は実弥について「気が合う友達」と述べている。不機嫌そうな姿、怒っている様子、周囲に苦言を呈することの多い「気むずかしい」2人であるが、互いには理解を示している。さらに、鬼に対する警戒心の強さは、共通している部分である。

「信用しない 信用しない そもそも鬼は大嫌いだ」(伊黒小芭内/6巻・第46話)

「人間ならば生かしておいてもいいが 鬼は駄目です 承知できない」(不死川実弥/6巻・第46話)

 柱合裁判において、炭治郎と禰豆子に対して即座に攻撃を加えようとしたのも、この2人だった。かたくななまでに「鬼の感情」「鬼の人間らしさ」を否定する。しかし、一方でその慎重さは、彼らの「柱らしさ」でもあった。

素直になれない2人の共通点

 彼らは気むずかしいだけではない。遊郭の戦いの場に駆けつけた伊黒が、生還した音柱・宇髄天元にこんなふうに声をかける場面がある。

「ふぅん そうか ふぅん 陸(=6)ね 一番下だ 上弦の 陸とはいえ上弦を倒したわけだ 実にめでたいことだな 陸だがな」(伊黒小芭内/11巻・第97話)

「ずぬー」という不思議な擬音で登場した伊黒は、ネチネチした言葉を口にしながらも、明らかに機嫌が良かった。「褒めてやってもいい」という宇髄への言葉は、上弦の鬼の戦闘で宇髄が生き残ったことに、安堵(あんど)しているようにすら見える。これは彼なりの「軽口」の一種であろう。

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身内から命を狙われた経験