熱量は技術を超えてくる
──最近メンバー間でデビューという言葉が自然に出るようになったとか。
あー、インタビューに対しては出ますけど、みんなでしゃべってるなかでわざわざそのワードは出さないかもしれない。もうわかってますから、みんないちいち言わんくても。やし、いま頑張りどきっていうのも。Aぇは1から10まで言わんくても、みんながなんとなく理解しあえるというか。
──ご自身にとってデビューする意味は?
もともとね、デビューしたくて入ってきてるし、もう芸歴15年目やし。お芝居したり、バラエティー出たり、舞台したり、ライブしたり、自分のやりたいことってここでしかできないと思うんですよ。例えば演技だけしたいんやったら、ね、もっとはように辞めて、俳優になることもできたかもしれないですけど、僕はそういうつもりなくて。そういう意味でもやっぱり、一つの目標としてデビューはあります。
──デビューに足りない要素があるとしたら?
いや、あるでしょ。全部じゃないですか? でもいちばんは熱量やと思いますね。細かい部分じゃない気がする。根本的に、熱量って技術を超えてくる部分がけっこうあったりするんですよね。歌下手でも熱量あったら響くもんがあるというか、ただ歌がうまいだけで熱量がなかったら何も響かんというか。カラオケがめちゃめちゃうまい人とライブで歌がうまい人ってちょっと違う気してて、感情の入り方、歌詞、曲、このライブにどんだけの熱量入ってるかっていうのが伝わる気がするんで、それがいちばんデビューへの大きい部分なんかなと。もちろん技術も数字とかもね、大事やとは思いますけど、どうこうできることじゃないじゃないですか。それでもいま必死に頑張ってね、応援してくれる人を増やして、っていうとこなんで。
──十分熱量あるのでは。
いや、足りん、全然まだまだできると思いますけどね。もっとパワーアップせなあかんって、全国ツアーでもね、やっぱ思いました。いまのこの勢いって、ほんまに流れというか、一時的なもんやと思ってるんすよね、僕は。ネガティブなことを言うつもりはないんですけど、冷静に見て。だからこそ、いま頑張らないとあかんという。
──バンドと歌だけでなく、トークやコントもできることは強みでは?
いやいやいやいや僕なんか全然。メンバーが優れてるんで、そのへんはもう僕も安心しきって、全信頼を置いてるんで。だからね、YouTubeもほんまにやってて楽しい。Aぇって仲のよさというか、普段の雰囲気がけっこう大きく出るグループやなと思うんですね。だからライブでも、この曲はわちゃわちゃ曲って決めたら、あんまり構成つけへんかったりするんですよ。Aぇってバチバチに決められると楽しくなくなっちゃう。自由にさせてるほうがいい。それも、いまのAぇの空気感があるからこそできることやなと思いますね。
(構成・伏見美雪)
※週刊朝日2023年5月19日号