メリー、主催イベント【ラムフェス2024-EXTRA-】完遂「絶対後悔だけはするな。また必ずこの場所で会いましょう!」

 2024年4月29日に神奈川・SUPERNOVA KAWASAKIで開催されたメリー主催イベント【ラムフェス2024−EXTRA−】の公式レポートが到着した。

 毎回刺激的なキャスティングで注目を集めるメリーの【ラムフェス】だが、開催は2016年以来約8年ぶり。2024年は“挑戦の年”というスローガンを掲げたメリーが、新しい刺激を求めて開催を決めた。出演はメトロノーム、heidi.、ダウト、RAZOR、そして主宰のメリーの5バンド。このラインナップについて、メリーのライブ中にガラ(vo)が「今日は俺たちがリスペクトできる、尊敬するバンドだけを呼びました」と語っていたが、呼ばれた側の4組はメリーへのリスペクトと愛を表明しつつも、「今日は4(月)29(日)、ヨウニク、羊肉の日。だからメリーを食ってやる」(メトロノーム/シャラク(vo)談)と、それぞれが食う気満々。そんな弱肉強食の世界でしのぎを削る5バンドによる、終始ハイテンションなステージが展開された。

 イエローの照明がステージを照らす中、「お邪魔しまーーーーす!」と登場したのはトップバッターのメトロノーム。「今日はよろしくお願いしまーす!」とシャラクが友好的に挨拶をしたと思ったら、突き放すように「世界はみんな僕の敵」を投下。「解離性同一人物」と続く縦ノリのパンクナンバーに、観客もピョンピョンとジャンプ。キーボードのフレーズが散る花びらのように綺麗だった春ソング「東京ロマンチカ」や、ラウドな「残念僕の人生。」、軽快なエレクトロチューン「コンピュータ」と盛り上げ、ラストの「ΦD-SANSKRIT」では、「スーパーお友達カモン!」とメリーの結生(G)が呼び込まれた。メンバーと同じ黄色の衣装を着た金髪の結生は、ビジュアルもメトロノームとなじんだ感じで、ギターを弾きながら楽しそうに回転している。メリーファンを「ラム達ラム達」と呼んだシャラクは、ムシャムシャと食べるような仕草をして、宣言通り“食って”いってしまったのだけれど、そこに残った屍たちはとても満足げな笑顔をしていた。

 続いて大きな手拍子で迎えられたのはheidi.。メンバー全員黒の衣装で、それまでのイエローカラーを塗り替える。「跳べ跳べ」と煽って「泡沫」で幕を開けると、哀愁漂うメロディとロックなサウンドが融合する「夕焼けと子供」、熱情を放つようなヴォーカルが印象的だった「レム」、拳を振り上げて一体感を作った「Ray」、「メリーにいいバトンを渡したい」とダンサブルなロックチューン「一瞥」でさらにフロアのヴォルテージを上げ、気がつくとheidi.が生み出すディープな世界へとどっぷりとはまっていた。ラストナンバーを前に、メリーのテツ(B)がステージに登場。ライブ鉄板曲の「おまえさん」へ。「ほら、みんなテツさん来たよ」と煽る義彦だが、お立ち台の上にテツと並ぶと思わず顔がほころぶ場面も。「俺はテツさんとセッションできたことをずっと言う。それぐらい嬉しい」と、実は誰よりもこのセッションを楽しみにしていたことを明かした。歌い終わり、アカペラで「おまえさ~ん♪」と歌う部分を、「ここはぜひ『お』だけでも」と交渉し、テツが「お~♪」と歌うと、義彦が「まえさ~ん♪」と続けるという二人の初めての共同作業に、会場は沸きに沸いた。

 heidi.が終わると、会場のBGMが「ジンギスカン」のエンドレスに変わる。これはまたしてもメリーが食われる予感がするのであった。

 ステージで円陣組んで気合入れをしたダウトが一曲目に披露したのは、メリーのカバー「チックタック」だ。思いがけないサプライズに、会場からは大きな声があがる。彼らが奏でる「チックタック」は、より硬質な響きがしていて、とてもよかった。続く「かぐやのすゝめ」では、幸樹(vo)が扇子をパッと開けるのを合図に、フロアでも扇子が乱舞した。「主催者プラス先輩とダブルで逆らえない風潮がヴィジュアル系ではあると思われてるんですけれど、ステージにあがれば関係ないんで、今日の一番と君たちの一番を獲りにきました!」と語ると、その勢いのままに、4月にリリースしたばかりの新曲「傑作」や、「不夜城」とアッパーチューンを畳み掛ける。“ニッポン チャチャチャ”のリズムで始まった「MUSIC NIPPON」。幸樹が歌い始めるところで、ガラがステージに乱入。ツインヴォーカルとシャウトでステージを掻き回すと、したり顔の笑顔を残して爽やかに去って行った。ラストは切なさが炸裂するバラードナンバー「閃光花火」。バンドサウンドに乗せて幸樹の奏でる三味線の調べは、いつまでも耳に残しておきたいほど美しかった。

 四番手で登場したRAZORは「ラムフェスぶちあげていきましょう!」と威勢よく煽り、「GRAVITY EMOTION」のヘヴィーな轟音で会場を揺らすと、次の「彩ル鼓動」で手応えをつかんだのか、「2曲目にして、いいライブができ始めている」と満足気にフロアを見つめる猟牙(vo)。リズム隊が重低音を響かせる「DAYBREAK」をプレーした後、猟牙が「ガラリスペクトで軍帽を被ってきました」「メリーはバンド始める前からチケット買ってライブに行くようなバンドでした。ガラさんの人間じゃない動きを見て、俺もこれなりたいと思って、ステージで影響受けてます」とメリー愛を語ったところで、メリーのネロ(D)を呼び込む。「千年ノ色彩」のドラムをネロに任せたNIKKY(D)は、マイクを手にフロントに出てきて、RAZOR史上初のツインヴォーカルを披露。療養から復帰したばかりのNIKKYに「NIKKY復活おめでとう。俺はこの5人のRAZORが大好きです」とエールを送った。「埋葬」では、左右に分かれた観客が爆音とともにぶつかり合ったり、前の方に観客を寄せておいて猟牙がダイブしたりとフロアはヒートアップ。ラストにヘヴィーチューンの「PRIMARY」を投下。フロアにピースサインが広がる中、「終わりたくねー。楽しかったよー!」と名残惜しそうにステージを後にした。

 4バンドが繋いだ心地よい熱を引き継いで、いよいよメリーの出番だ。食われっぱなしじゃいられないとばかりに、登場するなり雄叫びをあげるガラ。「ジャパニーズモダニスト」「絶望」と、序盤から剥き出しの感情を爆発させたようなアンサンブルと、ヒリヒリとしたパフォーマンスで観客の心を鷲掴みにすると、続けてスカのリズムで乗せる「不均衡キネマ」、パンキッシュな「Midnight Shangrila」と、ハイテンションなライブを展開。MC代わりのガラの習字コーナーでは、「あたらしい/いしょうだから/やらないと/思ってんだろ/そんなの/ボクじゃない」と、一枚ずつ音読していく観客。それを聞き終えたガラが、墨汁を口に含んで吐き出すと、会場からは悲鳴のような声があがった。「気持ちいーなー。狂っちまおうぜ」と不敵な笑みを見せ、「バイオレットハレンチ」「陽の当たらない場所」とメリー初期を代表するアップチューンへ。初期衝動に円熟味の増した演奏が加わって、より深みを感じられた。「もっと声を聴かせてくれよ。クソみたいなこんな世界で」と「千代田線デモクラシー」をエネルギッシュに披露した後、ガラが今の心境を語った。「どんなバンドも決して永遠なんかじゃないし、当たり前なんかじゃない。だからバンドはさ、見に行ける時に、会いに行ける時にどうかたくさん行ってやってください」。熱い思いに大きな拍手があがる。「俺もお前らも絶対後悔だけはするな。また必ずこの場所で会いましょう!」と、ラストナンバーの「夜明け前」を丁寧に歌い上げた。歌い続けるための決意表明のようなこの曲は、メリーと、この日出演した4バンドの未来を優しく照らしているように感じた。

 アンコールに応えて登場したメリーは、「全身全霊でかかってこい!」というネロの言葉を合図に、「夜明け前」と背中合わせのような「梟」を最後に披露した。このステージ上で、6月23日からスタートする【メリー 2MAN TOUR「狂った夏」】、7月6日【ガラBirthday Live 第八回自作自演「奇縁」】、そして11月7日【ラムフェス2024】を開催することを発表したメリー。挑戦をし続ける彼らがどんな進化を遂げるのか、ますます注目していきたいと思う。

Text:大窪由香
Photos:マツモトユウ