CT検査では、がんの深さ、周囲の臓器への広がり、リンパ節や肺などへの転移を調べます。転移の診断のためにPET検査を追加することもあります。

「食道がんには、胃がんや大腸がんよりリンパ節転移が起こりやすいという特徴があります。がんが粘膜の浅いところにある場合でもリンパ節に転移している可能性があり、リンパ節転移の有無を診断することは大変重要です」(大塚医師)

 粘膜の浅いところにとどまっている場合、リンパ節転移がなければ、食道の内側からがんの部分だけ切除する内視鏡治療が可能です。しかし、リンパ節転移があれば手術が必要になるからです。

 内視鏡治療をおこなったあとには、切除した組織で病理検査をおこないます。その結果、リンパ節転移やがんを取り切れなかった可能性がある場合は、追加の治療として手術や化学放射線療法が必要とされることもあります。

手術の前から呼吸訓練などのリハビリをおこない、肺炎などを防ぐ

 手術では、食道と周囲のリンパ節を切除し、胃などを使って食道の代わりとなる飲食物の通り道をつくります。手術を受ける体力がない場合には化学放射線療法をおこなったり、病期によっては手術前に化学療法をおこなったりします(術前化学療法)。

 周囲の臓器に広がったり、転移したりしている場合は、手術は適さず、化学放射線療法や化学療法をおこないます。化学療法では、免疫チェックポイント阻害薬という新しい薬が使われるようになっています。

 食道がんの手術では、頸部、胸部、腹部と広い範囲に及ぶため、「大がかりな手術」とよくいわれます。

「以前は大きく切開する開胸手術でしたが、現在は、5~6カ所小さく穴を開ける胸腔鏡手術が主流になり、からだへの負担は以前よりかなり小さくなっています。医師も、胸腔鏡のカメラで組織をかなり細かく見ることができ繊細な手術ができるので出血量も減り、昔ほど大がかりな手術とはいえないのではないかと思います」(大塚医師)

 ただし、どちらの手術でも、肺炎、反回神経麻痺、残った食道と胃のつなぎ目のほころび(縫合不全)などの合併症が起こることがあります。日本食道学会は、ホームページで食道外科専門医、食道外科専門医認定施設を公表しており、認定施設で手術を受けることを大塚医師はすすめています。

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