――日本でもパワーカップル(共働きの高収入世帯)が住宅ローンに追われて、子どもの受験があって……という話があります。
(パックン)手取り収入1000万円を多く感じないのって、かわいそう。
貧乏を経験した人は1000万円をもらっても少し節約して半分は取っておこうって考えることが多いはず。
1000万円だ! 家、車、学費もワンランクアップ! ってやっちゃう人は永遠にリラックスできないよ。
(エミン)私も野村(證券)を退職して「複眼経済塾」を立ち上げた頃の最初の給料は安かった。
売り上げがなかったから。会社を辞めて新卒の給料に戻ったもん。
(パックン)それってある意味、投資ですよね。自分の将来に賭けるために、そのときもらっていた報酬を犠牲にする。
(エミン)収入が4分の1に減ってもいいから、アップサイドが大きいものに賭ける。お金よりも時間をかけるつもりで。
(パックン)心理学の有名な実験があるんですけど、子どもの目の前にお菓子を1個置く。今すぐ食べていいけど15分待てたら2個食べていい。
さあ、どうする? このとき、ごほうびを後に回せるタイプの子どものほうが将来の収入が多い傾向が強いんだって。
それが本当かどうかはともかく、これって投資の世界では成立すると思う。今入ってきたお金を将来の資産形成に充てる。
――投資に回す毎月の「入金力」最優先で節約している人もいます。
(エミン)不要な出費を削るのが節約上手。必要な経費まで削るのはケチ。何が必要かは人によって価値観が違うでしょうけど。
(パックン)私は老後の安心を優先する人を応援したい。倒産する恐れがゼロの超一流企業に入って年金がしっかりしていれば問題ありません。
普通に会社員生活を40年続ければいいので。そうじゃない人は自分の将来設計とのバランスを見ながら。
(エミン)私は現金がなくても「今やりたいこと」はやったほうがいいと思ってるよ。
(パックン)そんな経験、あるんですか?
(エミン)新卒で会社に入ってすぐ、残業代込みで年収400万円くらいなのに、クレジットカードで海外旅行したりとか。
(パックン)お金の価値観が人によって違うって、このことだな(笑)。
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(編集/綾小路麗香、伊藤忍)
※『AERA Money 2023秋冬号』から抜粋