それがよく表れていたのが、明治神宮参拝での愛子さまの「はい」という返事とお辞儀だという。

「愛子さまが奉迎車から降りられて、宮司などの関係者に挨拶をなさり、お話の途中で『はい』と返事をされていらっしゃるのが映像からわかりました。音声は聞こえなくても、笑顔でそれがはっきりと伝わるほどの対応は、愛子さまの素直さであったり、相手を立ててきちんと従う気持ちの表れからでしょう」

 そして、明治神宮の参拝で最も驚いたのが、愛子さまの完璧なお辞儀だったと話す。

「私たちも知っている二礼二拍手一礼という参拝の作法がありますが、こちらは、二拝二拍手一拝とも言われます。『神社祭式同行事作法解説』(神社本庁刊)に書かれております敬礼の区別として、『拝』は上体を90度前傾する深いお辞儀のことです。愛子さまは、本殿で『拝』のお辞儀をなさり、御玉串を玉串立に立てて奉られました。

 マナーの研修で、この90度の深いお辞儀の練習もするのですが、みなさん膝裏が痛いというほどの姿勢です。愛子さまは、背をまっすぐになさった本当に美しい90度の拝礼をなさっていらっしゃいました」

ケニアのルト大統領夫妻との午餐(ごさん)に臨む皇后さまと天皇、皇后両陛下の長女愛子さま。午餐に参加するのもこのときが「初めて」。宮殿の部屋に入られるときも、配慮のある心を込めた会釈をされていた=2024年2月9日、皇居・宮殿「連翠」、代表撮影

愛子さまの配慮あるお辞儀

 この深いお辞儀以外にも、愛子さまの配慮あるお辞儀が何度も見られたと、西出氏は指摘する。

「90度前傾する深いお辞儀以外にも、一般的にいわれる会釈は上体を15度ほど傾けるとされています。明治神宮参拝でも愛子さまが会釈をなさる場面は何度もありました。

 お辞儀はその状況などに応じて種類があり、それぞれに前傾する角度が異なります。そしてお辞儀も相手への敬意からなる所作ですから、その気持ちを表現するためには、同じ会釈でも相手よりも深くお辞儀をしようとする心理がはたらきます。愛子さまは自身が深くお辞儀をしてしまうと、相手はそれ以上に前傾しなければならないことに配慮され、お辞儀の角度も考えられていらしたとお見受けいたしました。

 だからといって、形だけ浅くお辞儀すればいいというものではなく、一回一回のお辞儀をどなたに対してもとても丁寧におこなっていらっしゃいますから、深くお辞儀をなさっていると感じます。このような点も愛子さまはさすがでいらっしゃり、常に気持ちを込めてひとつひとつの動作を日頃からおこなっていらっしゃることをうかがい知ることができます。今回、愛子さまのお姿を拝見して、相手を敬う気持ちからお辞儀をする大切さをあらためて感じました」

 ニュース映像などで伝えられる愛子さまの堂々とした姿に驚かされる理由は、その内面にあるのかもしれない。(AERA dot.編集部・太田裕子)

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