凪良ゆう(なぎら・ゆう)/2020年に『流浪の月』、23年に『汝、星のごとく』で本屋大賞。作品に『美しい彼』『神さまのビオトープ』『わたしの美しい庭』『滅びの前のシャングリラ』など。京都市在住(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 AERAで連載中の「この人のこの本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。

【写真】『ニューワールド 凪良ゆうの世界』

 『ニューワールド 凪良ゆうの世界』は作家・凪良ゆうさんの対談を収録。対談相手は元・チャットモンチーのボーカル橋本絵莉子、漫画家のヤマシタトモコ、作家の芦沢央、町田そのこ、榎田尤利、山本文緒。その他、デビューから17年間の全著作を振り返るインタビュー、担当編集者の座談会、凪良の小説を浅野いにおが漫画化した作品、『滅びの前のシャングリラ』のスピンオフ掌編「ニューワールド」も収録。凪良さんに同書にかける思いを聞いた。

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 『流浪の月』と『汝、星のごとく』で本屋大賞を2回受賞した凪良ゆうさん(51)。小説誕生のきっかけをくれたミュージシャン、憧れていた作家ら6人との対談が一冊にまとまった。それぞれの創作の舞台裏が明かされている。

 対談本を出すほど人と話すのが得意かというと、そうではない。

「相手に合わせて話すことはできるけど、そのあと自分から連絡を取る勇気がなくて、友だちが増えないんです」

 20代の頃から小説の神様のように思っていた山本文緒さんとの対談の際には、京都から東京に向かう新幹線が遅れて遅刻した。待たせてしまったことと、大好きな人に会えたことで涙があふれ、いきなりトイレに駆け込んだ。だから推しには近づきたくないと話す。

 山本さんとの対談では、凪良さんが「世の中に馴染めない人たち」を書いていることが話題に上った。血のつながらない親子や、生きづらさを抱える人は、自分にとって身近な世界だからだと凪良さんは言う。

「複雑な家庭で育ったこともあり、私は私の生きづらさを描いているだけなんですけど、共感してくれる読者さんがいる。ありがたいし、伝わるんだ!という驚きがありますね」

 凪良さんはBL小説でデビューし、ドラマ、映画になった『美しい彼』をはじめヒット作を書いてきた。BL小説には恋愛中心、ハッピーエンドなどの約束事があり、その制約の中で創作する。数年前から一般の文芸作品を手がけるようになったが、最初は制約なしに書くことが怖かった。

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