田村耕太郎『頭にきてもアホとは戦うな 賢者の反撃編』(朝日新聞出版)
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自分の人生がど真ん中にあればアホなど気にならない

 You can be just you.(あなたにはあなた自身でいられる権利がある)

 娘が通う学校の哲学だ。入学希望者が後をたたず難関校だが、通う子供たちにはエリートっぽさが全くない。卒業生は皆世界中の名門大学に入る子が多いが、それは結果論。この学校の人気は冒頭の哲学があるからだと思う。

「自分らしくあること」や「誰かに期待される人生を生きるのではなく自分の人生の扉を自分で開けていくこと」が最重視されている。もちろん、学校教育だけでなく、公私を問わず人生の中で心に刻んでおくべきメッセージだ。

 なぜなら、自分の人生をもっとも大事にし、その目的に向かって突き進むことで、心がぶれずにアホへの対応ができるからだ。

 他人の期待に応えることを最大の目標にした場合、そのために自分の意見を抑えつけ、自分自身を殺す人生となってしまい、アホにも簡単に心をやられる。そうではなく、自分自身を大事にし、自分のために掲げた目標を達成することを第一にしよう。そうすることで、最大のパフォーマンスができるように、自分を解放できる。

 もちろん、自己中心的になり過ぎてはいけない。時には、困っている人を救い(娘の学校では「生態系を守ること」にも重きを置いている)ながらも、自分は自分であるとして、「他人と比較しない」「誰かの期待のためだけに人生を生きない」ことを大切にして生きる。目的さえ正しくもっていたら、それが世界の課題を解決する道にもつながるはずだ。

 人生100年時代、組織のために自分を犠牲にしても忠誠心をみせるために自分を殺し周りに合わせ続けても、テクノロジーの進化や国際的な競争激化が続くかぎり、その組織があなたの人生の終わりまで生活を保障してくれる時代ではない。

 どこかでその組織から放り出される。自分で道を切り開いていかないといけない時がくる。

 そのときには、自分がどういう人間で何ができるのか、何をしているときに心から幸せを感じるのかを自分と向き合い考えなければならない。

 何事も遅すぎることはないが、自分と向き合うのは早い方がいい。自分の人生を中心におき、そのためにすべきことを考え抜くことで、アホの存在など気にならなくなるはずだ。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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