これからのニューストピックは、厳格に扱っていきたいと思っています。いまオンラインでしかニュースに触れない読者も多く、ヤフーのニュースを読んで選挙の投票に行ったりするわけです。そのためにもニュースの“ストライクゾーン”は狭めていきます。

 一方で、インターネットには多様なコンテンツがあることが面白みです。ヤフーには幅広いコンテンツを受け入れるサービスがあります。自動車なら「carview!」、カジュアルな話題は「ネタりか」などさまざまな媒体もあります。そうしたところに、徐々にコンテンツのサービスを分けていきたいと思っています。

●提携メディアのタイムライン化を無償支援する

──具体的に、どのようなプロセスで進めていくのでしょうか。

 まずヤフーはどのような情報を求めており、どんな記事を大事にしたいと思っているかを「メディア・ステートメント」という形にまとめたいと考えています。外部の方からの意見も取り入れて、早ければ年内にも発表します。それが新しい出発点になります。

 さらに来年2月には提携メディアとの関係の在り方を少し変えようと思っています。そして利益のシェアの方法についても、これまでのようにPV数に応じて情報提供料をお支払いするだけではなく、新しい仕組みを取り入れようと思っています。

 既に個人ニュースの書き手に対してはPV数だけではなく、その質を評価した仕組みを導入しています。

──提携メディアの中には、ニュース配信をしてもヤフーから還元される収益が低いと、不満を持つケースもあるようです。

 その本質はスマホにおけるマネタイズの難しさだと思います。パソコン時代は、ヤフーにニュース配信をすることによって大量のトラフィックが提携メディアに還元され、それが広告収入になりました。古くはこれを「トラフィック共栄圏」と呼んでいました。

 ところが、スマホではパソコンよりもはるかに広告単価が低く、売るのも難しい。ヤフー自身もこの難題に直面しました。そこで今年5月にスマホのニュースサイトをタイムラインの形にデザインし直して、そこに読者の属性に合わせて、単価の高いインフィード広告を差し込めるようにしました。そこに至るまで、約20万通ものご意見を頂く苦労をしました。

 これが最終的な正解か分かりませんが、手応えを感じています。そして提携メディアのマネタイズを支援するため、ニュースサイトをタイムライン化させる無償の技術支援を始めます。ヤフーのようにお叱りを受けなくても、各社がタイムライン化によるマネタイズができます。そしてステマがなくても、スマホで記事をもっと書こうというメディアが現れたらいいなと思っています。

●機械ではできない取材や解説を伴う記事をプッシュ

──ヤフーは提携メディアとの収益のバランスをどのように考えてきたのでしょうか。

 歴史的な話をすると、私は1997年にヤフーに入社した翌年からニュースサービスの担当を10年ほどやりました。当時、Yahoo!ニュースが成功するかどうかは、いかにインターネットで記事を書こうという人を増やすかにありました。色々な出版社を訪ねても、「うちはオンラインで入稿できない」と言われるので、紙のニュースをもらって手作業で打ち込んだりしていました。サッカーダイジェストの採点表とかやっていましたよ。笑

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