「世界中から学生の集まる海外大学では、キャンパスで過ごすだけでも否応なく国際的な繋がりができる。そしてこの人脈は卒業後の財産になる」(日野田さん)
理由はもちろんそれだけではない。日本ではまだ「大学がゴール」という感覚が根強く残るが、海外大学は「ここがスタート」。そうした気骨ある学生が多いため、入学後も学業に対してのモチベーションを保ちやすい。さらに、海外の大学で学位を取れば就職先の選択肢が世界へと広がる。
注目したいのは、海外と日本の大卒初任給の差だ。
例えば、日本の大卒1年目の年収の平均は300万円程度だが、米国の大卒1年目の年収の平均は5万5260ドル(National Association of Colleges and Employers調べ)。日本円に換算すると800万円以上になる。円安の影響があるとはいえ日本と米国では倍以上の開きがある。
また、海外の企業は大学名よりもその人の持つスキルによって就職が決まることが多いため、進学先がハーバード大やコロンビア大などの難関大学でなくとも、力さえあれば高収入の職に就くことができる。高額に思えた海外進学費用も数年で十分に元がとれてしまう計算だ。
とはいえ、誰もが知っている海外名門大学ではない大学の場合、何を基準に選べばいいのだろうか。
日野田さんのオススメは、文理の垣根なく学べるリベラルアーツカレッジだ。
「リベラルアーツカレッジは規模がそれほど大きくないのが良いところ。学生数の多い大学では、現地学生に圧倒されて潰れてしまう子もいますから。ほどよい人数の所の方が、教授陣からも手厚く見てもらいやすいから、海外の学生は学びやすい」(日野田さん)
東大に合格できる学力と英語力があれば、海外難関大学を併願し、東大に届かなくとも、将来の就職を見据えて海外大学へ。そんな流れは、今後ますます加速していくだろう。(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2024年4月22日号より抜粋