阪神タイガースの甲子園での開幕戦となった4月9日、球団がX(旧ツイッター)の公式アカウントで、「観戦マナーに関するお願い」という投稿をしたことが反響を呼んでいる。
「今シーズンもご来場のお客さまひとりひとりが観戦マナーを遵守し、すべての皆様が楽しく快適に観戦できる環境を作り上げ、健全な応援でチーム・選手を鼓舞していただきますよう、心よりお願いいたします」という呼びかけと共に、球団OBの能見篤史氏が次のように訴える動画が流れる。
「くたばれ! その言葉、あなたが言われたら、どんな気持ちですか?」
「すべての選手に愛のある声援を」
一部のファンが、試合中に「くたばれ読売」と声をそろえてコールすることが以前から問題視されてきたため、注意喚起したのだ。
この「くたばれ読売」コールは、他球団にとっても対岸の火事ではない。
2000年代には12球団が集うオールスターゲームで、「くたばれ読売」の大合唱が流れた時もある。巨人ファンだけでなく、各球団のファンから「聞くに堪えないからやめるべき」という声が出ていながらも、依然として続いてきた。
ヤクルトでは、応援歌「東京音頭」の前奏の部分で、一部のファンが「くたばれ読売」とコールすることが問題視されてきた。私設応援団「全国ツバメ軍団」の公式サイトには、以下のような文章が掲載されている。
「選手にとって、『くたばれ読売』は気持ちのいいものでは、決してありません。スワローズファン、皆が気持ちよく東京音頭を歌えなければなりません。『くたばれ』は江戸っ子の洒落だよ、という人もいるかと思いますし、かつて、少数のファンの時代はそうでした。旧きも新しきも、主張するばかりでなく、お互いに少しずつ理解しあい、楽しいスタンドをつくっていきませんか」
ヤクルトファンの60代男性は複雑な表情を浮かべる。
「私設応援団が10年以上前から、『くたばれ読売はやめてください』と呼びかけているのでヤクルトファンの間では聞かれなくなりましたが、他球団のファンが面白半分でまだ歌っている。東京音頭を馬鹿にされた気持ちになるし不愉快です。少し前は強い巨人を倒したいという思いで他球団がまとまり、ヤジや替え歌が球場で流れましたが、時代が違う。相手球団への敬意がない侮辱的なヤジは厳しく対応するべきだと思います」
中日ファンの50代男性は反省を口にする。
「以前の巨人は豊富な資金力で各球団の主力選手を獲得していたので、倒したいという思いが中日に限らず、他球団のファンの間でも強かった。本当にくたばれとは思っていないが、酒を飲んでストレス解消に盛り上がっていた部分もありましたね。今はやめています。もっと早く気付くべきでした」
実際に現場でプレーする選手や首脳陣はどう感じるだろうか。