(河本)岡山の施設や大分での米作りに後輩芸人と一緒に行くときの交通費なんかは、自腹です。他にもいろいろお金がかかるのは確か。でも僕はテレビの企画で米作りをしているわけではないので、農家のみなさんに信頼してもらうほうが大事。
「遊び半分なら、やめてくれ。こっちは生活がかかってる」とか思われないように、本気でやらないと信じてもらえない。
(テスタ)金銭的なメリットもないのに、どうしてお米作りにまで活動を広げたんですか?
(河本)一番は自分の病気かなぁ。さっきチラッと言いましたけど、膵炎になったとき、ほんまに死を意識したから。
5年後に家建てて、自分なりに番組を5~6本持って……みたいな、仕事やプライベートの計画を立てる勇気がなくなったのよ。
明日死ぬかもしれないのに、とてもじゃないけど、ふんぞり返って5年後の話なんかできんわ、と。
だからこれからの人生は、やりたいことだけを頭の中に詰め込んで、そのうち、まだやれていないことを先にやっていこうと思うようになった。
(テスタ)計画を立てる勇気……大病になると……なるほど。
(河本)僕は田舎育ちなのに農業を経験してこなかった。毎日食べる米をどうやって作るのか、全く知らない。
そうしたら、2015年ぐらいから吉本興業がSDGs(持続可能な開発目標)に取り組みます、と。そのときにSDGsの話を聞きに行ったりもした。
(テスタ)吉本興業がSDGs? 知らなかった。
(河本)そんなこんなで、土を触りたいという気持ちや国産のお米を作り続ける大切さ、元から続けていたボランティアが自分の中でひも付いていったんよ。
(テスタ)それにしても、もっと早くからボランティアの話も公表すればよかったのに。
(河本)2019年にしゃべってるんよ。「あるある探検隊」ってネタの芸人、レギュラーが僕のボランティア活動を手伝ってくれたことをきっかけに介護資格を取り、介護施設の営業で活躍するようになって取材依頼が来たの。
そのときレギュラーが「河本さんがきっかけと言いたい、ダメですか」と。承諾したら、同じ媒体から「河本がボランティアを7年もしていたのか」と僕のとこにも取材が来た。