1971年6月、歌手前川清と藤圭子の婚約発表の囲み取材。人気絶頂のときのできごとで、赤坂プリンスホテルにファンが駆け付けた

「藤さんから『これをかけてくれませんか?』って言われたから、僕がパーソナリティの番組だから『あ、いいよ!』って、答えけど『私の曲はかけなくてもいいから、かけて! かけて! お願いします!!』って言われました。でも、ゲストで出てきてもらっている以上、藤さんの楽曲を出しているレコード会社の手前、『藤圭子の曲をかけないわけにはいかないから両方かけましょう』と提案しました。そうしたら自分の曲じゃなくて3人の楽曲のほうを差し出して『こっちを先にかけて!』って。藤さんにそんなに推されても、そのとき、宇多田ヒカルなんて全く知らなかったから……」

 藤さんに母としての思いが見えたと石川さんは続けてこう話す。

「宇多田ヒカルの歌声を自分よりもまず先に流してほしいと心から願っていた。娘の歌声を届けたい一心でしたね。そして、曲をかけたあとは、その顔には、お母さんとしてもとても喜んでくれている表情がありました」

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藤圭子さんとの最後の思い出は