日赤の入社式で初出社した愛子さま。ご両親に「頑張って行ってらっしゃい」と送り出された=2024年4月2日、東京都の日赤本社

深夜まで推敲を重ねることも

 天皇陛下皇族方は、報道各社からの質問や定期的に開催される式典でのあいさつなどのために文章をまとめることがある。

「天皇陛下や皇族方がそうした文章を作るとき、事務的に処理していると思われがちです。しかし、想像されるよりもずっと時間と神経を費やしておられます」

 そう話すのは、平成の時代に天皇家に侍従として仕え、駐チュニジア、駐ラトビア特命全権大使などを歴任した多賀敏行・中京大学客員教授だ。侍従時代は、記者会見のための文章の英訳なども担当したことがあるという。

 式典などのあいさつは、ある程度のひな型が決まっているという。主催者側から事前に提供される資料を参考に、お言葉に含めるべき単語やキーワードにご自身の想いを加えていくイメージだ。

皇室から発信される言葉は、そのひとつひとつに影響力と責任が伴います。上皇さまなどは、文書を印字しては、適切な表現を考え抜くといった作業をなさっていました」

 そうした作業が深夜に及ぶことも珍しくなく、お言葉を述べる直前、ギリギリの時間まで推敲することもあったという。
 

伊勢神宮を参拝する愛子さま。聖域でお召しの白いロングドレスの参拝服が美しい=3月26日、三重県伊勢市

愛子さまの「見えない努力」に陛下が言及

 しかし、さらに大変なのが、愛子さまの成年にあたっての記者会見や今回のように、ご自身の人生の節目にあたっての文章だ。ひな型はなく、自身の想いを一から練り上げる必要がある。

「皇族が、自身の考えを発信する機会は、さほど多くはありません。なので、ご自身の人間性や考え方を国民に伝える貴重な機会でもあります。それを意識して工夫を凝らすと同時に、誰が読んでも配慮に欠ける表現がない文章を完成させねばなりません。大変な作業だと思います」
 

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「一生懸命準備する姿を目にしていた」と陛下