AERA 2024年4月8日号より

「それは原作者とテレビ局のプロデューサーとの間にコミュニケーションが取れていて、原作者の意見をプロデューサーが尊重してくれたからです」

 南さんは、大前提として原作のドラマ化はうまくいっていることが多いという。ただ、うまくいっていない場合の最大の要因は、南さんも「コミュニケーション不足だと思う」と指摘する。

「原作者と脚本家、さらに出版社と制作スタッフは、よほどの理由がない限り、事前に顔を合わせて意見交換をするべきです。その時点で、お互いに考え方が違っていたり、目指すものが違っていると思えば、ドラマ化はご破算にしたほうがいいと思います」

制作者は何を目指す

 そして、もう一つ根本的な問題として、制作者は何を目指して仕事をしているのかを問いたいと話す。いい作品をつくりたいのか、それとも視聴率を取って自分の社内評価を上げたいだけなのか。あるいは、番組枠が空いているから枠を埋めるためにつくるのか、と。

「本来、漫画を映像化するのは、その原作が素晴らしいから映像化して多くの人に見てもらいたいということのはず。原作にほれ込んでいないのであれば、ドラマ化する必要はないと思います」

 テレビ朝日法務部長を務めた西脇亨輔(きょうすけ)弁護士は、「原作者を粗末に扱うことは、長期的には日本のエンタメ業界全体を傷つけることになる」と懸念する。

「粗末な扱いを続けていると、最初は何も言わなかった原作者も反発の声を上げるでしょう。またそうした場所には才能が集まらなくなったり、『原作の映像化は海外企業に頼む』ということにもなりかねません」

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