――水原氏は億単位まで借金が膨らみました

田中 あれほどの金額になると、もう取り戻すのは無理だと心のどこかで思っていたはずです。数百万円くらいなら、自分の経験値から、もう一度当てればいける、と思うのですが、あそこまでの金額になると、もう無理だとどこかで思うんですよね。でも、やめられない。

――本人の力ではどうにもならないなら、傷が浅いうちに周囲が気づくことは難しいのでしょうか

田中 見た目では分かりませんから、見抜くのは不可能です。昔なら、例えば家族の誰かが土日にいつも家を出て、帰ってくるとやたらたばこ臭い。何かおかしいと思ったら、パチンコ屋に入り浸っていたなどという形で気づくことはあったでしょう。

 ただ、最近はオンラインカジノが主流になり、スマホでできてしまうので、さらに難しいですよね。オンラインは手軽なので、日本でも若い世代の依存症者が増えています。非常に大きな問題だと思います。

――家族は借金が発覚するまで、気がつけないということでしょうか

田中 借金が発覚しても、当事者がしっかり仕事をしている人だと、家族は依存症だと疑わないケースがあります。「若気の至り」「今回だけやり過ぎちゃったんだろう」などと、軽く考えてしまうのです。借金が初めて発覚したその時に依存症を疑うことがとても重要になるのですが、3回目くらいでやっと、という事例が多いです。

――家族はどのように対応するのが望ましいのでしょうか

田中 まずは家族自身が、家族会や家族らの自助グループに参加して、依存症者への対応を学ぶことが重要です。当事者を何とかして行かせようとする家族が多いのですが、本人が納得するまでにとても時間がかかってしまいます。家族が行動し、いかにして当事者を治療に向かわせるかの作戦を習うことが大切です。さらに、借金を肩代わりするなど、この人には私がいなくちゃいけない、という共依存の関係を解消する必要があります。

次のページ