加盟社の動きも鈍く
一方、定例会見に参加できるのが1社1人という現在の記者会見のあり方について、加盟社はどう思っているのだろうか。
都庁には広い会議室は多くあり、今の部屋以外の選択肢があったはずという指摘もあるが、報道課の担当者は、
「記者クラブ側から、部屋の広さに対し、改善してほしいといった要望は入っていません」
と話した。
定例会見の主催は記者クラブであり、参加人数に不満があるのであれば、現状を変更するよう要望しないのだろうか。
記者クラブ側に取材すると、
「加盟社で開かれる記者クラブの総会で、現状のやり方を変更するなどの要望が議題に上がったことがない」
ということだった。要望しない理由について、別の記者がこう語った。
「そこまで重要なこととは感じていないのと、現状をそれほど不満と感じていないからだと思う。そう感じていたら記者が個人でも都に抗議する」
「加盟社は1社1人」という人数に文句が出ないことについては、
「メディアが今、都政にそこまで人数を割くほど関心を持っていない、という面があると思う」
と付け加えた。
「排除します」発言が今も……
記者クラブの問題について、昨年から疑義を唱えてきた立憲民主党の五十嵐えり都議は、
「国民の知る権利に関わる重要な問題です。知事は、『情報公開は一丁目一番地』と言いながら、現実には非加盟の記者はあまり質問ができていない。今の方式を変更し、開かれた都庁にするように改善すべきです」
と話す。
別のベテラン都議は、17年の衆院選前にあった会見が、小池知事が非加盟を避けるようになったきっかけではないかとみる。
小池知事は当時、希望の党を結党し、民進党との合流を進めていたが、民進党のリベラル派が加わることは認めていなかった。
「会見でそのことを非加盟のフリーの記者から質問され、小池知事は『排除します』と言ってしまった。その発言がきっかけで希望の党は大敗してしまった。彼女にとっては大きな痛手だったでしょう。その経験があるので、なるべく理由をつけて非加盟を排除したいのでは」(前出・ベテラン都議)