女たちに最も憎まれ、呪われる男とは…

夜、新大久保のカフェで友人とお茶をする鈴木さん

 別に私の対応が正しかったとは思いません。去る者を追わないと、追ってほしくて去るふりをするタイプの、「別れる別れる詐欺」みたいな男には「なんで追ってこないんだ! 愛が足りない!」と逆ギレされることもあるし、本当に去りたい男は面倒な別れ話もスキップして都合よく去り、二度と戻ってきません。もしかしたら、健気に「悪いところ直すから考え直して」的なことを言っていればつなぎ止められた人もいるのかもしれませんが、食い下がることに対してはかなり慎重になってしまうのです。

 というのも、女同士でおしゃべりをしていて男の悪口で盛り上がるのが好物の私的に、そういう時に最も憎まれ、呪われ、口汚い悪態をつかれるのは「別れてくれない粘着男」あるいは「断っているのにしつこいストーカー男」である、という経験則があるわけです。彼氏が浮気しているとかセンスがないとか一日二十時間寝ていてだらしがないとか、そういう悪口にはまだ多少の愛情や、周囲の「そんなこと言ってけっこう仲良しなんだろうな」という目線が混じりますが、逃げたら追ってくる男に関しては、全員一致で迷惑千万、恐怖と憎悪、消えてほしい人物ナンバーワン、という見解が寄せられます。たとえかつて愛し合ったとして、たとえこちらの言い分に理があるとして、たとえ納得いかない形で逃げられたとして、逆の立場になった時にそれだけ呪われるような存在にはならないに越したことはありません。

 だからあくまで私としては、ばっさり言いたい放題言って、無責任に関係を投げ出そうとする年下の彼に、変に下手に出て食い下がるよりは、渡辺真知子「かもめが翔んだ日」をBGMに、「元気でやれよ」と送り出すのが吉のような気がします。失礼なことを言って中途半端に投げ出したことへの地味な復讐(ふくしゅう)は、共通の友人にいかに彼が無責任な形で関係を終わらせたかなどを吹聴するくらいに留めつつ。

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鈴木さんの“初”年下彼氏は…