元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】この記事の写真をもっと見る

*  *  *

 メキシコでのホームステイで何が一番心配だったって、それはもちろんコトバが通じないこと。他人さまのお宅に厄介になるのだから何をするにもコミュニケーションが重要なのに、当方スペイン語はもちろん、英語も元々苦手な上に今やあらゆる単語をすっかり忘れ、確実に中学生以下のレベルである。

 だがそこで躊躇していたら一生こんな体験はできないわけで、簡単な自己紹介の挨拶(スペイン語)だけ飛行機の中で必死で覚えてエイヤーと現地へ。で、どーなったんだと言うとですね。

 何とかなったのであった。

 もちろんスペイン語は全くわからず、だが困ったときはアイフォンの翻訳アプリで複雑なことも要所要所で伝え合うことができた。便利を遠ざけて生きる身だが、初めて使ったらいやもう神だナとちゃっかりおすがりする。

著者プロフィールを見る
稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

稲垣えみ子の記事一覧はこちら
次のページ