「矛先がここへきて」と自身の胸を指す城田優さん。「撮影をしながら、質問に答える形でも僕は大丈夫ですよ」。取材の終わり時間を気にしていた筆者の胸の内を察知し、そう声をかけてくれた。気遣いの人でもある(写真映像部・上田泰世/hair & make up Emiy(エミー) styling 山中有希奈 costume MSGM)

このやり方じゃダメなんだ

「『こう思ったら、こう』と強く思ってしまう、自分の悪い癖がよくわかったんです。23年の再演より、19年の初演のときのほうが100倍くらいの反省点がある。だから、19年の初演の際のキャストやスタッフのなかには、『城田優とは二度と一緒に仕事をしたくない』と思われた方もいらっしゃると思うんです。僕がアツくて強すぎて」

「実際、初演時に参加したカンパニーの一人が、再演時に加入した一人に『城田優の演出は大変でしょ?』と声をかけられたそうで。彼は「まったく! めちゃくちゃ楽しいよ!」と返してくれた、いう話も聞きました。

このやり方じゃダメなんだ、と自分が学んだ、ということですし、僕自身が変わったということなのかもしれません」

 主演や演出を兼ねれば、名前はトップにクレジットされる。加えて、抜群の知名度もある。

 作品が評判になれば称賛されるが、逆に芳しくない場合は矢面に立たされる。プレッシャーは計り知れない。自分の胸を指さして、「矛先がここへ来て、やられるんですよ」と表現した。

「つらい、苦しい、やりたくない」が増殖

 かつて「根はネガティブ」と自身を分析した。担う役割が増えていくなか、内面的な変化はあったのか。

「中身自体は変わっていないと思います。でも、捉え方や感覚を少し変えていく、ということをいまは意識するようにしています。

 というのも、主観的になりすぎると、何もかもを真に受けてしまい、『つらい、苦しい、悲しい、やりたくない』という思いが増殖していく。

 僕は言霊を信じていて、口に出せば出すほど、その状況になりやすくなる。だから、イライラしたときほど『大丈夫ですよ! ありがとうございます』と言うようにしています。なるべく、ですけれどね。それって本当に大切だと思いますし、自分が『楽しい、うれしい、ハッピー』と言っていれば、マインド的にもそうなってくる」

 悪いことが起こったときも、ボードゲームの「人生ゲーム」をやっているつもりで、主観で捉えすぎないようにしている。人生に思いがけない困難が立ちはだかったら、ゲーム感覚に気持ちを切り替えてみる。そうすれば、たとえ「キツい、しんどい」と思っても、「生きようかな」と思える。

「主観で考えすぎないようにしている」と語る城田優さん(写真映像部・上田泰世/hair & make up Emiy(エミー) styling 山中有希奈 costume MSGM)
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