徳田拳士(とくだ・けんし)/1997年12月9日生まれ。26歳。山口県周南市出身。2009年、小学生名人戦全国大会優勝。同志社大学卒。22年、四段。山口県出身者としては初の将棋の棋士に(撮影/写真映像部・東川哲也)

 王位戦では参加1期目でリーグに入り、永瀬拓矢王座(現九段)を破る殊勲の星を挙げた。一方で羽生善治九段には貫禄を見せつけられた。

「まだちょっと余裕を感じられるような勝たれ方をされて。小学生名人戦で解説してもらった羽生先生と指せたのは、夢のような体験でした。でも指せた嬉しさより、負けた悔しさの方が大きかった。強い方々といまの自分との距離感がわかったのは、よかったかなと思います」

 徳田は年度途中まで勝率9割を超え、ランキング1位を独走。史上最高記録(0.855)の更新も期待された。

「やっぱり厳しい記録でしたね(笑)。1年間保つというのはめちゃくちゃ難しいと思いました。結局、最後は8割にも満たない成績だったんで」

 最終的に勝率1位は8割超えの藤井。徳田は7割5分弱で4位だった。棋士生活2年目を迎えた今年度は、あまり成績が振るわなかった。

「周りからは『去年が全盛期』と言われています(苦笑)。ちょっとやっぱり慣れてしまって、気の緩みが響いているのかなと。もうちょっとハングリー精神を取り戻さないといけないのかもしれません。服部くん(慎一郎六段)とか古賀くん(悠聖六段)とか年下の人がどんどん伸びてくるので、そこに必死に食らいついていかないと。年齢的に、あと1、2回で新人王戦に出られなくなるので、優勝を目指せれば。目の前のことをやっていき、結果に結びつけていけたらと思っています」

 最後に、地元山口県の皆さんに一言お願いします。

「来年度はがんばります!」

(構成/ライター・松本博文)

AERA 2024年3月25日号

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