大谷が訴えたら賠償額は「30億円」?
木村弁護士によると、もし水原氏が、大谷選手の知らないうちに、あるいは同意を得ずに送金していた場合、横領や窃盗の罪に問われることも考えられるという。
「検察は一般的に、被害者が当局に協力的な事件を起訴します。大谷選手の弁護士は『この問題を当局に引き渡す』と話している。これは大谷選手側が当局に協力することを意味しているので、水原氏が起訴されて刑事罰を受ける可能性はあるでしょう。横領罪の場合、カリフォルニア州法では最長で3年の収監が命じられますが、初犯ということもあり、そこまで重い罰にはならないと思います」
しかし、詐欺や横領など刑事上の罪だけでなく、民事上でも損害賠償を求められる可能性がある。
もし大谷選手が水原氏を訴えた場合、その請求金額は、盗まれた金額の弁済、盗まれた合計金額の3倍の賠償金、数千万円単位の弁護士費用など、総額30億円ほどに膨れ上がることも考えられる。だが、ギャンブルに資金をつぎこんだ水原氏に支払い能力があるとは思えず、「大谷選手側が提訴に踏み切る可能性は低いだろう」と木村弁護士はみている。
今回の水原氏の報道を受け、アメリカ国内では、大谷選手にまで疑惑の目を向ける人がいるという。
「SNSでは、『大谷は一平がしたことを知っていたのに隠していたのでは?』といったコメントも目にします。大谷選手は、仕事上のパートナーであり大親友を失っただけでなく、自分自身のイメージにも傷がついてしまった。本当にかわいそうだと思います」(木村弁護士)
大谷選手がこの逆境をどう乗り越えるのか、世界が注目している。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)