新路線は高性能単焦点レンズ
タムロンのレンズといえば、高倍率ズームと90mmマクロが思い浮かぶことだろう。しかし、かつては17mmの超広角から500mmの超望遠レンズまでをラインアップしていた。
現在、一眼レフ初心者が最初に使うレンズといえば、キットになった純正のズームレンズがほとんどだ。初心者に限った話でもなく、ズームレンズ主流の今日、純正かレンズメーカー製かを問わず、単焦点レンズが話題になることはまれだ。趣味性が高く数が売れないからだ。せいぜい、話題にするのは本誌のようなカメラ専門誌くらいのものだ。
ところがシグマが大口径の単焦点レンズを続々と発売、コシナ/カール ツァイスも大口径の55mmや85mmのレンズを発売するなど状況は少しずつ変化しつつある。いずれも高性能がウリであり、タムロンもこの分野に参入する。今回発表されたのは、35mm判フルサイズのイメージサークルをカバーするとともに開放F1.8の35mmと45mmの手堅い焦点距離と明るさのレンズで派手さには欠けるが、同社で高性能なレンズのSPシリーズの刷新の意味もあるという。
大口径ズームレンズの開放F値はF2.8がほとんど。F1.8は、これより1段以上明るい。デジタルカメラでは感度の設定が自由自在だから、低照度下撮影用というより、開放絞りでの浅い被写界深度を応用し、個性ある写真制作が可能になることに注目したい。
今回タムロンは、徹底した高性能化を打ち出している。キヤノンEOS 5Ds/5Ds Rの約5060万画素など高精細なカメラが登場し、従来のレンズではポテンシャルを最大限に発揮するには限界があり、新たに高性能レンズを用意する必要がでてきたこともある。ここで、超高性能の単焦点レンズを用意することでタムロンの光学設計技術を広くアピールしようとしているようだ。
機能面では、両レンズともVC(手ブレ補正機能)を搭載していることは注目したい。そのほか、AFにUSD(超音波モーター)を採用したり、独自のeBANDコーティングに加え防汚コートを施したり、簡易・防滴構造も共通の仕様だ。鏡筒は金属製、フォーカスリングを幅広くしMF時の操作性を向上させている。