ファイターズとコンサドーレの選手が交互に紹介された2022年当時の札幌ドームへの通路(写真:筆者撮影)

 筆者は、日本ハム球団と打ち合わせをするために、何度か札幌ドームに足を運んだ。一昨年まで、球団事務所は札幌ドームに隣接するビル内にあったのだ。冬季、雪を踏み分けて事務所に入ったこともある。

 札幌ドームには、地下鉄福住駅を降りてから徒歩で十数分だが、地下通路の両側には北海道日本ハムファイターズと、コンサドーレ札幌というこの施設を本拠とする2つのプロチームの選手や球団のチームや選手の装飾がきっちり50%ずつの割合で表示されていた。

 札幌を代表する両チームの本拠であることを表現していたのだろう。お役所的にはそれでいいのかもしれないが、球場使用料は1日約831万円と言われる。単純計算すれば、年間71~72試合を行う日本ハムはこれだけで5.9億円を支払っていることになるが、コンサドーレは17試合だから1.4億円にすぎない。一説には日本ハムは全部含めれば13億円を札幌ドームに支払っていたという話もある。

「売り上げの大きさで言ったら、五分五分というのは納得いかない気持ちもあるんですけどね」とあるファイターズの営業担当者から聞いたことがある。

観客動員数は増えたが経営状況は厳しかった

 札幌ドームは2002年の「FIFAワールドカップ」の開催に名乗りを上げるために建設されたが、その後の経営を安定させるために日本ハムファイターズを誘致。東京ドームでの観客動員が伸び悩む日本ハム側と利害が一致して、2004年、札幌ドームへの本拠地移転が決まった。

 日本ハムは札幌ドームに移転してから、北海道を独自のフランチャイズとして開拓。東京ドーム最終年の2003年は、131.9万人だった観客動員数は、移転1年目には161.6万人と増加した。日本ハムの事例は、本拠地移転による成功例とされた。

 しかしながら、経営状況は厳しかった。FA制度の導入以降、選手年俸は上昇の一途をたどった。また、ファンクラブの構築などマーケティングや営業コストもかかったからだ。

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