MLBでは市や州が球場を建設してプロ野球チームに無償、あるいは低額で貸与してビジネスをさせ、町の活性化や税収増につなげるビジネスが一般化している。ニューヨーク・ヤンキースもニューヨーク市が建てたヤンキースタジアムを本拠地にしているが、マリーンズの場合、それに近い形だと言えよう。
マリーンズに倣って多くの球団が、本拠地球場を「借りて使う球場」から「自前の球場」にするよう球場を所有する公共団体に働きかけるようになった。本拠地球場と球団との関係は、個々に違っているが、ただ高い使用料を払うだけの「大家と店子」の関係のままの球団は次第に少なくなっていった。
第3セクターが指定管理者の札幌ドーム
しかし札幌ドームは、依然として市や地元財界が出資する第3セクターの株式会社札幌ドームが指定管理者だ。ファイターズは、再三、指定管理者にするようドーム側と交渉をしたが、はねつけられてきた。
他球団の場合、球団が球場内の広告看板をスポンサーに販売したり、球団プロデュースの飲食店、物販店を球場内に出店して収入を上げるなど球場を「コンテンツ」として最大限に活用することができたのだが、ファイターズの場合、毎試合球場使用料を支払ったうえに、広告看板や場内の飲食物販の収入もドーム側に握られていた。ファイターズという存在がなければ、こうした収益はありえなかったのだが。
ファイターズは21世紀に入ってから、ダルビッシュ有、大谷翔平をはじめとするスター選手を輩出したが、活躍して年俸が上がると球団は彼らを放出した。その背景には、球団の経営が札幌ドームとの契約によって圧迫されていた、という部分もあったのだ。
2016年にファイターズは北海道で独自に球場を建設することを決定した。当初、新球場の予定地には札幌市も含まれていたが、札幌市に隣接する北広島市のアプローチもあり、北広島市に決定した。
2023年開場した、新球場エスコンフィールド北海道は、最新の「ボールパーク構想」に則った開閉式のドーム球場であり、飲食、物販などの施設も充実、周辺開発も進み、ドーム球場を核とする「新たな街づくり」と言ってもいい規模になりつつある。