――『会社四季報』はどう活用していますか。

 例えば大きな動きをみるうえで、まず巻頭部分にある「業種別業績展望」があります。全33業種について、売上高や営業利益など業績の前期の実績や、今期や来期の予想が見開き2ページの表で一覧できるようになっています。この表を読み解くだけで株価の値上がりが期待できる業種をある程度見つけることができます。

 ただし、そのままでは分かりにくい。そこで売上高と本業のもうけを示す営業利益の増減をみて、自分なりに「増収増益」「増収減益」「減収増益」「減収減益」の四つに分類、整理しています。

大底をつける「減収増益」

 素材や機械、半導体関連といった、一般的に「景気循環株」と呼ばれる企業は、「減収増益」→「増収増益」→「増収減益」→「減収減益」という循環を繰り返すと言われています。株価もこれに合わせ、最も好調な「増収増益」の時には上昇し、「増収減益」で天井をつけ、「減収減益」の過程で下落、そして「減収増益」になると底入れする傾向があります。

 ですから、投資にあたっては大底をつける「減収増益」の業種や企業に注目します。「減収減益」から「減収増益」に移る過程では、その業種や企業が事業やコストの構造などを見直すことで、業績が改善に向かうと考えられます。株価も反転するタイミング。現実的には、この通りにきれいな循環を示すとは限りませんが、投資のチャンスとして捉えてよいでしょう。

 会社四季報の直近の24年第1集(新春号)では「電力・ガス業」の今期予想が「減収増益」でした。企業によってばらつきはありますが、株価もおおむね堅調に推移しています。

 増収率(売上高の伸び率)と増益率(営業利益の伸び率)が高いところも注目です。24年新春号で目立つのが自動車メーカーなどの「輸送用機器」。今期予想では増収率で33業種中2番目、増益率で5番目にあたります。

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出遅れが指摘される中小型株の探し方