「症状を大っぴらにできず、苦しんでいる人がものすごく多い。苦しみの種類も深さも千差万別で、職場で理解を得るのもまだまだ難しい。働き盛りの時期に更年期障害が原因で辞めてしまう人が多いのは社会的にも損失が大きすぎる、ということを伝えなければと必死でした」
女性が直面する現実を赤裸々に伝えた番組は大きな反響を呼び、放送後は武内さんの周囲にも変化が起きた。
「驚いたのは男性の反応でした」
症状や苦しみをシェア
特に印象深かったのは、「更年期障害の妻に対して必要なケアを全くしてあげられなかったことを後悔した」と打ち明ける局内の先輩男性だ。自分の母親の体調を案じる声も多かった。男性も若い人も、みんなどこかで更年期との接点があると気づかされたようだった。
「みんなやさしいなって。困った人がいたら助けてあげないといけない、何かできないかと、みんな考えるんだなって」
大事なのは症状や苦しみを周囲とシェアして支え合っていくこと。武内さんの場合、自分のコンディションを率直に伝えたことで、子どもたちに「ケア」の意識が芽生え、ギスギスしなくなると症状も改善したという。
「ママ、怒ってない?」
普通に接しているつもりなのに、子どもたちがビクビクした様子で尋ねてくる。「怒ってないよ」と答えても、「でも、怒ってない?」と重ねて問う子どもたち。その姿に、ふと思った。
「私なんで、こんな嫌な人になっちゃったんだろう」
アンガーマネジメントの先生に相談すると、子どもたちと「怒りのメーター」をシェアするよう勧められた。怒りが抑えられなくなったとき、「ママは今、10のメーターのうち3ぐらいまで怒っているけど、このままだと8になるけどいい?」と子どもに尋ねる。すると子どもは「ママの怒りメーターはいま何度ぐらい?」と問うようになり、無茶な行動をしなくなった。今のコンディションを率直に伝えると、「ママ、大丈夫?」「手伝うよ」とケアを申し出てくれた。ギスギスした空気が和らぐのに合わせ、症状も改善していった。