武内陶子(たけうち・とうこ)/1965年、愛媛県出身。神戸女学院大学を卒業後、91年NHK入局。「第54回紅白歌合戦」総合司会などを務めた(撮影/写真映像部・和仁貢介)
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 更年期障害に苦しみ、不安を募らせる女性は少なくない。元NHKアナウンサー武内陶子さんもその一人だ。そんな武内さんが、自身の経験とともに女性の生きやすい社会について語った。AERA 2024年3月11日号より。

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 明るく、バイタリティーあふれるイメージの武内陶子さん。だが、深刻な更年期障害で一時期、仕事を辞めようかと思い詰めた時期もあったという。

「急に言葉が出なくなったんです。テレビカメラの前に立つと表情も意識しますし、短いコメントで視聴者に刺さる言葉を届けなければ、といろいろ考えを巡らせます。すると突然、口の中がカラカラに渇いて発声が難しくなるんです」

 症状は新しい仕事に臨む局面で顕在化した。

「これまでチャレンジすることに喜びを感じてきたのに、声が出なくなることに恐れを抱いて一歩を踏み出せなくなったら私が私でいられなくなる、と不安を募らせていました」

首から上が汗まみれに

 50歳前後。管理職としての業務が増え、自身のキャリアもテレビからラジオに軸足が移る「変化の時期」。家庭では3人の娘の子育てに追われていた。裏表のない性格で通してきた武内さんが、家庭では別の一面を見せるようになっていた。

「小学生になったばかりの下の双子がうちの中で走り回っているとイラッときて、ものすごい剣幕で叱っていました」

 それでも、イライラや声が出なくなるのと更年期障害の症状はなかなか結び付かなかった。転機はホットフラッシュの症状が出たこと。もともと汗をかきにくい体質で化粧崩れしないため、メイクさんから「アナウンサーの鑑」と称えられていた。なのに突然、首から上が汗まみれになった。

「これでようやく更年期障害かな、と悟りました」

 クリニックで診断を受け、周囲にも症状を告げるようになった。その頃、NHKスペシャル「#みんなの更年期」に当事者として出演が決まった。22年4月のことだ。番組は「更年期障害がきっかけで雇い止めにあった」という1人の女性の声をきっかけに取り組んだ、1年がかりの取材の集大成だった。

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