初めまして、「やさしいお金の専門家」(日本金融教育推進協会代表/金融・経済アナリスト)として活動している横川楓です。
この連載ではこれから、日々起こっているニュースたちが、私たちとどんな関係があるのかということを解説させていただこうと思っていますが、その前にまず私がなぜ「やさしいお金の専門家」として活動しているのかについて、お話したいと思います。
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小学生のときに両親が離婚し、いわゆる母子家庭となりました。父と母と暮らしていた親子3人暮らしのマンションから、会計事務所を経営する母方の祖父の一軒家に引っ越します。庭がとても広く、犬が何匹もいる母の実家暮らしは、とても楽しいものでした。
しかし、中学にあがるタイミングで母が実家から独立することになり、豪華な一軒家からアパートでの母子二人暮らしに。女性一人の稼ぎでまかなう暮らしはおそらくとても大変で、いつも忙しそうな母との生活や、ぼろいアパートでの暮らしは10代の私にとっては結構なストレスでした。そのあと高校生になるタイミングで、ひとり親家庭などが利用できる制度を使い、きれいな公営住宅に引っ越せることに。とても嬉しかったのを覚えています。
家族の形やお金のあるなしで、こんなに生活が変わるんだ…ということを、身をもって体感しました。実家が会計事務所だったためにお金に関する知識や制度に詳しく、それを活用することができていた母のもとで育ち、勤労学生控除や確定申告の話を学生の頃から聞くなどして、制度を活用すると暮らしが変わるということも知ることができました。当時はとても嫌でしたが、何にいくらお金がかかるのかなど、お金のことを口うるさく言われたのも、当事者意識がついた一因だったと思います。
知識があり、それを活用することで、人生の選択肢が増えた。そんな原体験から、お金の専門家としてより多くの人に選択肢を増やしてもらいたいと、等身大の目線でわかりやすくお金の知識を伝えていく、今の活動をしています。