地元紙の北國新聞社は、両陛下の訪問の様子を、こう書いている。
<いしかわ100万石文化祭の開会式会場周辺では、両陛下が到着した時刻にちょうど雨がやんで晴れ間がのぞき、集まった人々が歓声とともに日の丸の小旗を振った>
先の報道関係者もこう振り返る。
「今回は季節柄、雨に見舞われました。しかし、両陛下が目的地に到着した際や出発の時刻になるとギリギリ雨があがり、我々は『保ったね』とほっとして声をかけあったものです。雨になるとうまく映像が撮影できなかったり、両陛下の動線が変更になったりして大変ですからね」
しかし、両陛下が「かごしま国体」への出席のために鹿児島県を訪問した10月7~8日は、鹿児島空港に到着した際は「ポツポツ雨で持ちこたえた」(現地の大会関係者)ものの、たびたび土砂降りの雨に見舞われ、予定の変更が続いたという。
「雨具は常備せよ」
平成の時代の天皇陛下(上皇さま)は「晴れ男」として知られていた。
報道関係者にとって皇室の取材は、数十秒から数分という時間制限のなかで、天皇や皇族の写真や映像を必ず撮影しなければならない。おのずと天候には敏感になる。
前出の報道関係者は語る。
「取材で地方に行くと、地元の自治体の職員が空模様を見て、大丈夫かなとヤキモキしているのを見ることが少なくない。そんなとき僕らは『大丈夫、陛下は晴れ男だから』と声をかける。そばにいる皇宮警察も、やり取りを横目に含み笑いしている。
彼らはずっと警護を担当しているから、知っているんですね。果たして、両陛下が現場に到着すると、その一瞬だけ雨があがるのです」
筆者も、上皇ご夫妻の取材の現場で、そんな場面に何度か遭遇したことがある。
雨の中でおふたりを待っていたとき、車やヘリが到着するころに雨がやみ、日差しも出てくるのだ。
一方で、皇室取材が20~30年と長い複数の報道関係者は、
「平成の時代、皇太子さまは『雨男』だった」
と口をそろえる。
確かに天皇陛下は、節目のときに雨が降っていることが珍しくない。