痛風持ちには常識のデッドライン、尿酸値「7」。この「7」という数字と、いかにつかず離れず付き合っていくかが、痛風持ちの課題なのです。7を超えると危険水域、痛風関節炎の発作がいつ出てもおかしくないと言われています。ただ痛風持ちの不思議なところは、そのデッドラインを超えて発作が出ても、また同じことを繰り返し、どうかするとそれをあたかも「勲章」のように自慢げに語り出すところです。
仲間内で飲みにいくとたいがい尿酸値自慢が始まります。世の中で一番無駄な時間といってもいいでしょう。が、ボンクラ痛風持ちにとってはそれが唯一の誇れる数値だったりするのです。
「(尿酸値が)いくつの時、初めて(痛風の発作が出た)?」
痛風持ちは相手が同じ痛風経験者だとわかると、まるで初体験の年齢を聞くように、垣根を飛び越えてこの質問を繰り出します。
「私は病院行って血液採ったら7.2でした」
「まだまだだね。俺は8.5まで逃げ切ったよ」
全く逃げ切ってはないのですが、先輩キャリアはつい痛風マウントでそんな表現を使ってしまいます。
「(尿酸値を下げる薬)飲んでる?」
「はい。飲んでおけば安心ですからね」
「俺は飲んだとたんにまた出たよ(嬉々として)」
「え!? なんでですか?」
「急に(尿酸値を)下げ過ぎるのもダメみたいなんだよね。そのとき検査したら4.8とかだったからね。なんでだよ!って思ったよね。上がってもダメ、下がってもダメ。もうどうしろってんだよな。よくわかんねぇよ(笑)」
これまたちょっとマウント取ってる。なに言ってんだか、正直こっちのほうがよくわかりません。