35年にも渡り、第一線で活躍し続け、その作品の数々は国内のみならず、海外においても広く親しまれている、作家・村上春樹さん。



 雑誌『MONKEY』での連載を収録した1〜6章に加え、書き下ろしの7〜11章、そして河合隼雄さんについての講演原稿の全12章からなる、本書『職業としての小説家』は、積み重ねてきた日々の経験をもとに、"小説を書く"ということについて真摯に綴った自伝的エッセイとなっています。



「書き下ろしの長編小説を書くには、一年以上(二年、あるいは時によっては三年)書斎にこもり、机に向かって一人でこつこつ原稿を書き続けることになります。朝早く起きて、毎日五時間から六時間、意識を集中して執筆します。(中略)毎日だいたい一時間は外に出て運動をします。そして翌日の仕事に備えなす。来る日も来る日も、判で押したみたいに同じことを繰り返します」(本書より)



 日々の執筆の様子について、上記のように述べる村上さんですが、本書では、実際に小説を書く際に生じてくるさまざまな問題についての、興味深い考察がなされていきます。



 たとえば、小説におけるオリジナリティーについて。村上さんは、その条件として次の三点をあげています。



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